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Next: 資料-1「わが国が行う情報技術研究開発のあり方に関する調査研究」 Up: 目次 Previous: 目次

要旨

現在、先端情報技術研究所(AITEC) 技術調査部は、わが国のソフトウェア産業を 中心とする情報産業について、その国際的な競争力をいかにして確保するか、 及びこの解決に対し国の研究開発のあり方をいかに変革すべきかと いった問題に関連する調査活動を行っている。

この調査の実施にあたり、今年度は、第一に、従来のわが国の情報産業の育成策や 国家プロジェクトの枠組み、実施体制についての問題点の整理を行い、今後へ 向けての改善策を検討した。(資料-1)

次に、先端的な情報技術の先進国であり、世界市場の大半を独占している 米国において、先端的ソフトウェア技術や情報技術を生み出している産・学・官の 連携のメカニズムや政府支援策について調査を行った。 この調査においては、研究者のアイデアが研究開発へと成長していく
上流部分 と、研究開発成果を磨きあげ製品化し、さらに市場を創造して いく下流部分に分けて、その成功の要因を探った。 (調査資料-1)(調査資料-2) この結果、米国における成功の要因として、大学と産業界の密な協力体制と、 省庁間の公開かつ競争的(オープン&コンペテティブ)な ファンディングによる優れた研究の選択と自然発生的な省庁間連携が、 重要な役割を演じていることがわかった。

一方、わが国においては、省庁間の縦割り行政のため、米国と比較して 省庁間の連携は円滑さを欠いており、いろいろな面でのロスが多い。 そこで、この縦割りが改善された場合に、各省庁のどのような情報関連プロ ジェクトの連携が可能かを検討する目的で、わが国の各省庁における情報関連 プロジェクトにどのようなものがあるかを調査した。(調査資料-3) また、情報関連産業への国の投資による経済効果を予測した。これによると 情報関連産業への投資は、他の産業への投資に比べて、産業全体への波及効果が 大きなことが示された。({調査資料-4)

以上のようなわが国の情報技術の研究開発の枠組や実施体制に関する 調査のほかに、今後の情報産業を牽引する可能性のある技術に関して、 その現状と将来動向を調査した。その一つは、現在、米国において 15年先を目指して行われているペタフロップスマシンの研究開発 プロジェクトである。(資料-2) さらに、情報技術の新たなニーズを満たすべく活発に研究開発が行われている ネットワークやAI関連の新技術に関しても、 最近注目を集めている情報技術を 中心に調査を行った。(資料-3)

平成8年度の調査結果をまとめた資料、および調査資料

  1. 資料-1 わが国が行う情報技術研究開発のあり方に関する調査研究
  2. 資料-2 ペタフロップスマシン技術に関する調査研究
  3. 資料-3 ネットワーク及びAI関連新技術に関する調査研究
  4. 調査資料-1 米国における政府系研究予算の戦略的決定・執行体制
  5. 調査資料-2 米国情報産業における研究成果の製品化・市場創造プロセス
  6. 調査資料-3 日本における情報技術関連研究開発プロジェクト
  7. 調査資料-4 情報関連産業への国の投資による経済効果予測

以下、上記の各資料について、その概要を述べる。