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調査資料-3「日本における情報技術関連研究開発プロジェクト」

わが国においては、いわゆる縦割行政の弊害から、研究開発プロジェクトは、 個々の省庁において、一定の成果を上げても、複数省庁間にまたがる共同事業へと 発展させることは困難なことが多い。

このような事実は、情報技術の分野においても同様であり、結果として情報技術の 開発力や情報産業の競争力の強化において、米国等と比べて不利な状況にあると いえる。今後は、このような縦割行政の壁を打破し、 シーズとなる技術を開発する省庁と、ニーズを持つ省庁との効率的な連携を 強め、ソフトウェア開発などの先端情報技術の研究開発の効率を向上させる ことが望まれる。

そこで、本調査では、高度情報化推進本部への各省庁からの報告をもとに、 各省庁の情報技術関連のプロジェクトの予算要求リストを作成し、分析を試みた。 予算の総額は、平成8年度予算で1,638億円、平成9年度政府原案では、1,749億円と なっている。

しかしながら、平成9年度では、情報技術の利用・応用が想定されるプロジェクトで 予算が1億円を超えるプロジェクトは、文部省で4件、厚生省で8件、農林水産省で 5件、通商産業省で4件、運輸省で5件、郵政省で2件、建設省で1件計画 されているのみである。 プロジェクトの内容をみると、通商産業省、郵政省、文部省ではシーズに近い基礎 研究関連が多く、厚生省、農林水産省、運輸省、建設省ではニーズに近いアプリケー ション開発関連が多い。

それぞれのプロジェクトは、それぞれ各省庁独立に管理され、プロジェクト間の 連携がとられているものは少ない。 ITS(高度道路交通システム)プロジェクトのように、警察庁、通商産業省、 運輸省、郵政省、建設省の5省庁間の連携をとって進められるものもあるが、 これは、過去に各省庁が個別に取り組んでいた施策を、高度情報通信 社会推進本部のトップダウンによる指示により1つのプロジェクトとなったものであ る。

今後は、日本の研究開発プロジェクトも、米国の情報スーパーハイウェイ構想のよ うに、シーズからニーズまでの全体の技術目標を省庁間にまたがって明示し、かつそ の成果が社会システムの発展に組み込まれてくようなプロジェクトとなることが期待 される。