平成8年度 委託研究ソフトウェアの 最終成果報告書

(14) ゴールに依存した抽象化を用いた法的推論

研究代表者:原口 誠  教授
      北海道大学工学部


   本研究は法的ルールの類推適用に用いる適切な類似性を検出するための 新たなアルゴリズムを提供している。一般に所与の事例と法的ルールが想定し ている状況間の類似性は非常に多く存在すると考えられるため、そのルールと 論証のゴールの両者に関連する適切な類似性を選択する必要がある。

   このため、適切な類似性を他の類似性から区別するための新た基準を提 供し、その実験を行なった。ここで適切な類似性とは,ゴールの説明に必要な 領域知識を保存するような抽象化を指している。こうした規準の下でも類似性 の探索空間は膨大なものになる.この組合せ爆発に対処するために,領域知識が 参照する語彙的知識によって適切な類似性をさらに絞りこむための定性的な2 つの規準、類似性継承条件と地域制限の保存を導入した。類似性継承条件は、 最も具体的な概念間の類似性からより一般的な概念間の類似性を計算すること を要求し、一方、値域制限の保存は概念間のロールフィラー関係を保存するこ とを類似性に課すものである。これらの規準が可能な類似性からなる膨大な探 索空間の削減に貢献することを実験によって確認している。



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