平成8年度 委託研究ソフトウェアの中間報告 |
(1)研究テーマ
(2)研究代表者
進捗状況は次のようである.
(1) 昨年度KL1上で実現した協調ロボットプログラミング/システムを整理し, より宣言的に表現できる形式にした.すなわち,KL1シンタックスそのもので 特別なインタプリタなしに,KL1処理系上で実行できる記述形式にした.この 宣言性のためにプログラム記量は通信用変数の設定で増加した.この欠点は, 高レベルのロボット言語を設定することで解決可能で,KL1へのコンパイルも 容易に開発できる見通しを得ている.
(2)より強力な視覚システムを開発した.昨年までは,ブロックや片付け用の 箱にある種の制限条件を付加していた.これが,今年度は取り除かれ,作業環 境のダイナミックな変化にも十分対応づけられるようになった.
これはマルチ・エージェントモデルを導入することで,複数対象物の動的変化 にも柔軟に対応できる.
(3)ロボットプログラミング環境をJava言語を用いて開発した.KLICはプログ ラミング言語としては洗練されているが,ユーザからのイベント処理やグラフィッ ク用ライブラリの機能が欠如している.これをJavaの通信機能を使うことで, リモートでのロボットプログラムの実行が可能になり,リアルタイム画像を表 示して,モニターすることも可能になった.
次の学会等で成果を発表した.
さらに現状システムを千葉県工業技術展(於幕張メッセ)にてデモし,未来の ロボットプログラミング技術を公表した.対象はブロックの片付け問題であっ たが,ブロックや片付け先を見学者に自由に設定してもらい,それに対応した ロボット作業が実現できた.このデモにおいて,本システムの頑健性を実証す ることができた.
帰納学習システムの適用がまだ未着手であり,ここ1〜2カ月でロボットプラ ンニングに敵した学習方法の提案,学習システムの開発を目指す.これはロボッ トの協調作業を毎回ロボット間で通信しながら行なうのではなく,大局的な作 業を帰納的に学習して,より効率のよい協調作業を実現する.このために,帰 納論理プログラミングシステムをKLICで開発すると同時に,KLICプログラムを 自動導出する方法も構築する.以上のシステムを実際の作業で実現し,本シス テムの有効性,限界を明らかにする.
ロボット学会において標準的なロボット言語として採用されているものとの整 合性を考えて,従来の手続き型,逐次型のロボット言語を本言語にコンパイル する方式も検討する.これは,本言語を実務者レベルまで普及させるために重 要である.
画像処理,ロボットプログラミング環境,ロボット言語が一体となったソフト ウエアとする.KLIC,C,Java言語を統合したソフトウエアとなる