平成8年度 委託研究ソフトウェアの 最終成果報告書

(24) 動的に変化する状況における法的推論システムの研究開発

研究代表者:東条 敏 助教授
      北陸先端科学技術大学院大学


   本研究においては, 論理プログラミングの拡張として, 法的推論を状況 理論に基づいて形式化・実装する. 法的推論においては, 法令の有効範囲, 時 間・場所, 立場や価値観など, 多くの意味で状況依存性が現れる。

   これまで状況を計算機上に実現する方法として, ファクトやルールの集 合としてのモジュールの概念で代用することがあった。 しかしながら, モジュー ルは推論中に動的に生成したり分割したりするのが困難で状況らしい扱いがで きないという欠点がある。

   本研究では, 状況素の概念を導入し, 状況はこれらの連結として動的に 生成されるものとする。したがって, 状況に相当する変数に対して動的に状況 を生成し, 束縛することを可能とする。

   本プロジェクトでは特に時間関係の解析を主たる目標とし, あるイベン トに相当する時間区間を状況として返すシステムを実装する。 このシステム の単一化の手続きにおいては, イベント自体の時間特性, すなわちイベント・ 状態・プロパティによって状況の大きさが異なるようになる。このシステムは 現在SICStus Prologにより実験システムが実装され, 法的推論における過剰避 難の例が稼働中である。



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