発想的帰納推論とは、欠落した背景知識を補うための帰納推論である。すなわち、 ある正例Eが、Eを頭部に持つルールを含んだ背景知識Bから説明されないと き、仮説Hを仮定することによって、Eを説明しようとする帰納推論である。こ のときHは、発想推論により求められる事実の一般化として得られる。すなわち、 Hを補うことで複数の正例が同時に説明できることから、この学習形態は帰納推 論として捉えることができる。
逆伴意法[3]に基づき発想的帰納推論を行うシステムとして、 Progol5.0[2]があげられる。このシステムでは、背景知識中の事 例に関するルールに欠落が一箇所ある場合、それを補う仮説を生成することが できるが、(逆伴意法の性質から)欠落が複数箇所ある問題を扱うことはできな い。これに対し、本研究においては、拡張逆伴意法[1]を利用 することで、欠落が複数箇所ある問題を扱うことのできる発想的帰納推論シス テムを開発した。また、実際のシステムはSICStus Prologによって実装されて いる。