next up previous
Next: 研究の成果 Up: 研究の内容 Previous: (1)知識表現言語の開発

(2)論証構築支援ツールの開発


本研究では拡張論理型言語をベースにして,矛盾する論証間の優先関係を明確に 定義できるように言語を拡張し,その言語を用いて論証構築支援ツールを 開発する.

拡張論理型言語では,2種類の否定(classical negationとnegation as failure)を 使えるため,ルール間に2つの種類の矛盾が生じる.

r1(X)とr2(X)のようにundercuttingの関係にある2つのルールが同時に成立する場合には, not を攻撃する側のルール(r2(X))が常に優先する. しかし、r5(X)とr6(X)のように 互いにundercuttingしあう場合には, どちらが優先するかを決定することはできない. そのため, ルールの優先関係を陽に表わすため, 特別な述語(>)を用意して, ルール間の優先関係を決めるルール(優先ルール)を記述できるようにする.

ルール間のコンフリクトと優先関係がこのように定義されると, それらのルールを 内部に含んだ論証(argument)間のコンフリクトや優先関係も定義することができる.

次に、論証の集合の優先関係について考える. ある論証Aに対する反証をBとし, Bに対する反証をCとする.このとき, AよりBが優先したとしても, BよりCが優先するならば, 結果としてAの論証が勝ち残った ことになる.すなわち,論証集合 { A, C } はBより優先する.このように, ある論証集合があって,(1)その集合内の論証は互いに攻撃することなく,また, (2)その集合内の論証を攻撃するような外部の論証があるときは,その集合内の どれかの論証がその外部論証を攻撃し返す,という2条件を満たす場合, そのような極大の論証集合により支持されるリテラルは,拡張論理プログラ ムの preferred modelと対応する.

このような拡張論理プログラムの意味論をさらに,優先ルールの意味論に拡張し, それをベースにした優先ルール付き拡張論理型言語の処理系を開発した. この言語をGUIモードで実行すると,論証間の関係や論証内の情報などを図で表示し, ユーザはそれを見て,論証を組み立てたり,論争の反論手段を検討したりすることが できる(図2).

  
図 2: 論証の内容



next up previous
Next: 研究の成果 Up: 研究の内容 Previous: (1)知識表現言語の開発



www-admin@icot.or.jp