平成8年度 委託研究ソフトウェアの 最終成果報告書

(20) パターンに基づくビジュアル並列プログラミング環境

研究代表者:柴山悦哉 助教授
      東京工業大学大学院情報理工学研究科


   本研究では、パターンに基づくビジュアル並列プログラミング環境 KLIEG の開発を行う。KLIEG のプログラムは、プロセスやストリームを表現するビジュアル図形から構成されている。KLIEG 環境のビジュアルエディタを用いることにより、ドロー系のエディタと類似のインタフェースを介して、プログラムの編集作業を行うことができる。ビジュアルエディタで編集された KLIEG プログラムは、 KL1 に翻訳され KLIC を利用して実行される。    KLIEG 環境の最大の特徴は、パターン指向並列プログラミングを支援している点である。KLIEG のパターンは、未定義プロセスを一部含むプロセスネットワークとして表現され、デザイン情報を保持する構造と考えることができる。KLIEG のパターンは、オブジェクト指向分野で注目を浴びているデザインパターンやソフトウェアパターンの考え方をプログラミング環境で直接サポートする ためのものであり、ソフトウェア工学的な観点から有益なものである。また、デバッグ環境からパターンの情報にアクセスする手段を提供し、プログラム実行の視覚化のためにパターンも利用する試みも行っている。一般に、パターンを構築するのは経験豊富な設計者であり、パターンを利用するのは初心者を含むプログラマである。KLIEG 環境は、パターンの設計者と利用者の双方のために優れたユーザインタフェースを提供している。



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