平成8年度 委託研究ソフトウェアの中間報告

(20) パターンに基づくビジュアル並列プログラミング環境


1 研究テーマ、研究代表者:
(1)研究テーマ
        パターンに基づくビジュアル並列プログラミング環境
(2)研究代表者(氏名、所属、役職)
        柴山 悦哉、東京工業大学大学院情報理工学研究科、助教授

2 記述項目:
(1)研究進捗状況

現在、平成7年度委託研究の成果物である KLIEG システムに改良
を施す作業を行っている。具体的な作業項目としては、まず、ビジュ
アルプログラムを入力するエディタ部分のユーザインタフェースを
大幅に改善しつつある。また、平成7年度の段階では、GUI ライブ
ラリとして Amulet  1.2 を用いて実装を行ってきたが、これを
Amulet 2.0 に移行するための移植作業を行っている。さらに、プ
ログラムデザインのパターンおよび実行表示のパターンを導入する
ための設計作業およびプロトタイプの実装と評価を行っている。 

(2)現在までの主な成果

Amulet 2.0 への移行作業に関しては順調に進んでおり、現在公開
されているバージョンの KLIEG とほぼ同程度の機能を持ったもの
ができあがっている。ビジュアルプログラム・エディタのユーザイ
ンタフェースの改善は、一部の機能のプロトタイプがほぼ完成して
いる。もっとも大きな改良点は、ズーム機能の導入とレイアウトア
ルゴリズムの改善である。プログラムデザインのパターンに関して
は、静的なパターンおよび動的なシーケンスのパターンは、設計・
実装ともにほぼ完了している。木のパターンについてはまだ設計中
である。表示のパターンとしては、動的なシーケンスのための表示
方式を検討し、プロトタイプの実装と評価を行っているところであ
る。 

(3)今後の研究概要

今年度の残りの期間では、ビジュアルプログラム・エディタのユー
ザインタフェース部分の改良と実行表示パターンの改良を主に行う
予定である。ビジュアルプログラム・エディタに新たに導入したズー
ムと自動レイアウトの方式について、ユーザビリティ評価を行い、
さらなる改善を図りたい。また、プログラムデザインのパターンを
(再)利用するためのドラッグ&ドラップによるインタフェースも
改善する予定である。動的なシーケンスの表示方式については、現
在のところ、実行効率およびメモリ効率に問題があるので、最適化
の方法を検討したい。また、よりスケーラビリティの高い動的シー
ケンスの表示方法に関する研究も続ける予定である。 

(4)今年度目標成果ソフトウェアイメージ

ビジュアルプログラムのエディタ、KLIC への翻訳系、およびトレー
サからシステムが構成される点は、平成7年度成果物の KLIEG シ
ステムと変わらない。ビジュアルプログラム・エディタの変更点と
しては、まず、プログラムデザインのパターンを定義・利用するた
めのユーザインタフェースを導入する。パターンの定義は、通常の
グラフィカルエディタと同様のインタフェースを介して行われ、パ
ターンの利用は、ドラッグ&ドロップインタフェースが用いられる。
また、ビジュアルプログラムに対してズーミングおよび自動レイア
ウトを行う機能を追加する。トレーサについては、パターンが持つ
意味情報を抽出し、その情報に基づいたプログラム実行の視覚化を
行う機能を追加する。KLIC への翻訳系は、KLIC のバージョンアッ
プに追随するための変更を行う。 


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