平成8年度 委託研究ソフトウェアの 最終成果報告書

(12) 一般化 LR 法を用いた頑健な並列構文解析に関する研究

研究代表者:國藤 進 教授
      北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科


   本研究では,一般化 LR法を用いた頑健な並列構文解析法を提案し,PIM 上および汎用計算機上で並列に動作する頑健な構文解析ツールを開発・整備し た.

   これは自然言語解析分野における基本的なツールとして利用できる.提 案したシステムは文法的な適格文だけではなく,「文中に n箇所の,終端記号 (単語)あるいは,非終端記号(句)レベルの,脱落,挿入および置換誤りを含ん だ文」のような不適格文をも解析でき,その文に存在している誤り箇所と誤り 種別を同定し修正する.不適格文解析では,通常の構文的曖昧性をはじめ,誤 りの位置とタイプによる曖昧性も存在するため,得られる解析結果の数が非常 に多くなり,その中から妥当なものを選択するのは容易なことではない.

   そこで,本研究は各々の構文解析結果にスコアを付けたす機構を実現し た.また,一般的に頑健な自然言語解析を行なう際に生じる,膨大な計算量と いう問題を解決するために,頑健な構文解析の並列化を提案し実装を行なった. 並列処理では,ランダム型動的負荷分散および要求駆動型動的負荷分散という 二つの負荷分散方式を開発し,ユーザの必要に応じてこれらの負荷分散を選択 できる機構を実現した.

   システムは SICStus Prologおよび KL1言語で実装し,汎用計算機とPIM 上での利用が可能である.



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