平成8年度 委託研究ソフトウェアの中間報告 |
平成8年度委託研究中間報告 研究テーマ: 詰将棋における戦略の獲得方法に関する研究 研究代表者: 伊藤 英則 名古屋工業大学知能情報システム学科 教授 (1)研究進捗状況 本研究は大量にある詰将棋問題から専門家の戦略を獲得する方法を確立する。 そして、それを詰将棋を解くプログラムに応用することを目的とする。詰将棋 戦略獲得のための手法として、帰納論理プログラミング(ILP)を用いる。特に 、ILPシステムの一つであるFOILの適用を試みる。詰将棋戦略を獲得するために はa)大量の背景知識を取り扱う必要がある。また、これを高速に行なうための 方法としてb)並列処理の適用がある。本研究はa)とb)のためFOILの改良と並列化 を試みる。 (2)現在までの主な成果 現在までの主な成果を以下i)とii)に述べる。 i) ILPシステムは背景知識、正事例、負事例から、正事例を全て満たし、負事例 を一つも満たさない述語を構成構成する。本研究では詰将棋を取り扱うため、将 棋の背景知識、正事例、負事例の作成した。また、大量の背景知識を取り扱える ようにFOILを拡張した。改良したシステムは、詰み局面を判断する述語、および、 一手詰めの問題で何を何処に打つかを判別する述語の学習に成功した。 ii) FOILは背景知識の中のリテラルを組み合わせ、正事例をカバーする述語を生 成する。この過程でFOILは候補となるリテラルをその評価値に基づき選択する。 各候補リテラルの評価はFOILアルゴリズムの中で最も計算時間を要する部分であ る。本研究は、FOILアルゴリズムにおいてこの計算が並列に行なえることに着目 し、並列FOILアルゴリズムの考案した。 (3)今後の研究概要 ILPを用いた詰将棋戦略獲得のため、適切な背景知識を検討する。また、効率と精 度を考慮したILPアルゴリズムを考案する。これらの準備の後、プログラムを作成 し、それに様々な詰将棋問題を与え、どのような戦略が獲得できるかを明らかにす る。また、並列効果、負化分散等を考慮した並列FOILアルゴリズムを検討する。さ らには並列論理型言語KLICを用いて、並列FOILシステムを作成する。KLICは負荷分 散指定が簡単にできるため、FOILに適した負化分散方式について検討し並列効果を 向上させる。 (4)今年度目標成果ソフトウェアイメージ 以下i)とii)のソフトウェアの作成を目指す。 i) 詰将棋問題から戦略を獲得するFOILプログラム(使用言語:Prolog) ii) 並列FOILプログラム(使用言語: KLIC)