平成8年度 委託研究ソフトウェアの中間報告 |
平成8年度委託研究中間報告 平成8年11月22日 1.研究テーマ,研究代表者 (1)研究テーマ:単一化に基づく日英文法の開発および 言語知識評価支援システム (2)研究代表者: 松本裕治 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授 2.報告内容 (1)研究進捗状況 HPSGに基づく英語および日本語の文法の開発と,言語の解析および生成に それを効率よく用いるための手法と計算機上での実現を行なっている.英語の 文法については,同一の文法を解析および生成に利用するための基本設計が終 了し,教科書にのっているような基本的な文法について動作確認を行なった. 日本語文法についても単文だけでなく,基本的な複文を解析,生成するための 文法の記述を行なっており,動作している.細かい言語現象については,どの ように文法を記述するかに関して共通の認識がある訳ではないので,現象の一 つずつに対して,考察を行ないながら記述を続けている状況である. (2)現在までの主な成果 ・Graham Wilcock and Yuji Matsumoto, "Implementing HPSG with Modular Tools for Fast Compiling and Parsing," Third International Conference on HPSG, May 20-22, 1996. ・Graham Wilcock and Yuji Matsumoto, "Reversible Delayed Lexical Choice in a Bidirectional Framework," Proceedings of the 16th International Conference on Computational Linguistics, pp.758-763, August 1996. ・Masahiko Haruno, Yasuharu Den, Yuji Matsumoto, ``A Chart-based Semantic Head Driven Generation Algorithm,'' in `Trends in Natural Language Generation,' G Adorni and M. Zock(eds.), Lecture Notes in Artificial Intelligence 1036, Springer, pp.300-313, 1996. ・西田 元樹,松本 裕治,「テンス・アスペクトを考慮した現代日本語の複文 の生成」,情報処理学会研究報告, 96-NL-116, pp.151-156, November 1996. (3)今後の研究概要 HPSGに基づく英語と日本語の文法のより詳細な記述を行なうとともに,そ れらの効率よい実行を可能にするための前処理的な解析を行なうシステムの開 発を行なう.HPSGのような制約に基づく文法では,制約間の優先度のよう な解析および生成の処理過程を順序つけるコントロール的な情報は記述されな いため,可能なあらゆる制約の評価を行なってしまい,処理の非効率の原因と なっている.制約では記述できない処理の優先度をデータに基づく統計情報を 利用することによって獲得し,解析および生成処理の効率を図る方法を検討し, システムに組み込んでいく予定である. (4)今年度目標成果 英語および日本語の基本的な構文を取り扱うことができ,解析および生成の両 過程で共有できる文法を実現させる.また,これらの処理の非効率性を緩和す るために解析済みテキストから抽出した統計情報に基づいて解析過程のコント ロールを行なう機構の設計と基本的な部分の実現を行なう.