IFS として公開されている異種分散協調問題解決系 Helios は、知識情報処理 などの高度で大規模な応用システム構築のための有効な手段を提供している。 ここで提案する研究開発は、現実の大規模な CSCW という応用を分析すること により、再度 Helios の要求仕様をまとめ直し、カプセル言語、環境言語、プ ロトコル、方略記述などの仕様を再度定義し、そのシステムを試作することに ある。そのために現在京都大学 (上林研) で大規模に研究開発している CSCW システムのサブシステムなどを Helios 用に修正し、改善された Helios の試 作システム上にそれを構築することを目標にしている。ここでの研究のポイン トは以下の通りである。
最近分散環境における多くの関連研究がある。たとえば、分散オブジェクト管 理のためのアーキテクチャ CORBA、分散プログラミング言語の Java や Telescript である。それらとの違いを明確にするために、本研究内容の内容 のそれぞれについて概略の述べる前にまず Helios の機能(と構想)をまとめる と以下のようになる。
CSCW への応用可能性の調査・分析
本来異種分散協調システムであるべき CSCW を、Helios の構想の上でまとめ 直し、問題点を整理する。上林研のシステムのみならず現在のほとんどの CSCW システムは同種問題解決器を前提にしている。そこで Helios の包括的 な枠組の有効性を考える。
問題点の分析
Helios の研究開発は、現実には、研究開発期間と設計開発労力の不足から多 くの点で妥協を強いられ、現在公開されている版は利用者が定義するカプセル 言語や環境言語は低レベルのものしか提供されてなく、またトランザクション の基づいたプロトコルも提供されていない。
問題点を整理と改善点のまとめ
Helios と応用との両面からの検討に基づき、Helios 改善版の試作システムの 上に CSCW システムのいくつかを実装し、さらに今後の Helios の研究開発の ための問題点と改善点を整理する。