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研究の背景と目的

知識情報処理など応用の複雑化に伴って、応用システムもますます高度にかつ 複雑になっている。このために検討しなければならない問題点として

などがある。この解決には2つの意味がある。ひとつは、コンポーネントウェ アのようなソフトウェア工学的なアプローチは特定のドメインを前提にした同 種ソフトウェアの再利用しか考えていないことが多いのでそれを拡張すること、 ふたつ目は、応用自体のモデリングで異種の問題解決器を組み合わせる必要性 がある場合も対象にすることである。

第五世代コンピュータの研究基盤化プロジェクトではこのような問題に対処す るために、複数の制約解消系、データベースシステム、知識ベースシステム、 応用プログラムなどの問題解決器を協調させるために異種分散協調問題解決系 Helios を研究開発し、現在 ICOT フリーソフトウェア (IFS)

   89: 異種分散協調問題解決システム

として公開している。しかしこのシステムはまだ大きな問題点を抱えている。

Helios の目指した、分散環境で異種の複数の問題解決器を協調させてより大 きな問題を解決させるという方向は、今後の情報処理の流れの中で大きな方向 を示している。とくにネットワーク環境の爆発的な進展によってこの流れはさ らに加速されるだろう。第五世代コンピュータの研究基盤化プロジェクトで研 究開発が始まった Helios は、よりはっきりした成果を出すために、さらに地 道な研究努力を継続する必要がある。本研究提案はそのような研究開発の一環 である。

現在 IFS として公開している Helios システムには以下のような大きな2つ の問題点がある。

ここで提案する研究では、Helios の有効性を検証しその可能性と改善点を探 るために、この後者の研究を行なうことを目指している。

Helios は高い理念を有しながらも、n-queen や会議スケジュールシス テムのような小さな応用でしか有効性を検証してこなかった。また研究開発期 間の短さからシステムとしてのみならず仕様面においても ICOT フリーソフト ウェアとしては未熟な状態にある。

一方、京都大学(上林研)では CSCW (計算機援用協調作業) + データベース (DB) 機能の研究開発として、遠隔教育、遠隔会議、遠隔オフィスなどを対象 にした VIEW (Virtual Interactive Environment for Workgroups) システム の応用開発を行なっている。しかしこれは分散 Smalltalk を使い、同種オブ ジェクトの協調を研究対象にしている。

この CSCW + DB は Helios にとって魅力的な応用であり、また VIEW にとっ ても Helios は魅力的なプラットフォームでもあるので、本研究では両者の合 体を検討する。VIEW のいくつかのサブシステムを例題として採り上げること によって Helios の大規模応用として協調作業空間を考え、Helios の有効性 を示すとともに、今後の必要機能を明確にし、Helios の改良版への試作を行 なう。本研究で実施する研究内容は閉じた応用ではなく、オンラインユニバー シティ (京大、阪大、早稲田大、など) などのさらに大規模な応用とも内容的 に関連した魅力的なものとなるだろう。



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