9. 中国
93年に開始された三金プロジェクト金橋、金関、金カードを含め、現在、中国に少なくとも13の“金”を頭文字とした情報化プロジェクトがある。いずれも電子政府の実現と、関連産業の現代化の促進を目標としている。ここでは、国家重点プロジェクトとなっている「金関」「金税」「金カード」「金盾」を中心に、経緯・内容を示す。
金関プロジェクト@ | 税還元管理システム:輸出企業用税還元申請サブシステム、対外貿易管理部門用会計検査サブシステム、税務部門用税還元審査サブシステムより構成される。国家税務総局が責任者として開発する。 |
A | 割当額と許可証管理システム:外資系企業の輸入・輸出を管理するシステムである。FCQシステムともいわれる。対外経済貿易省が開発する。 |
B | 輸入・輸出における外貨処理システム:輸出における外貨の納入と輸入における支出、及び関連業務を処理する。「外貨管理局」が責任者として開発する。 |
C | 対外貿易統計システム:税関データをベースに、統一的な貿易統計及び情報検索を実現する。「税関総署」と「対外経済貿易省」が共同で開発する。 |
<実行>97年までに、全体的なコントロールセンター、全体的なEDIサービスセンターとサブセンター、政府省庁間のネットワークの相互接続、EDIに準拠する業務ワークフローを構築した。2001年まで、上記4つの基本業務システムをほぼ完成した。2001年後半から、「電子税関システム」というワンストップサービスの開発と実験を始めた。
<成果>対外貿易関連企業の企業コードと関連商品の商品コードの標準化を実現した。通関手続きや速度を大幅に改善した、例えば、以前数日もかかる操作は現在10-20分で処理できるようになった。EDIの利用によって、国外の関連システムとの接続も実現できた。
@ | 偽造を防止できる増値税印紙発行システム:ディジタル暗号技術及び専用設備に基づき、企業の売上情報と納税情報の真正性を保障できる増値税印紙発行システム。 |
A | 偽造を防止できる認証システム:税務局が企業の持っている増値税印紙の真正性を認証できるシステム。 |
B | 増値税会計検査システム:増値税印紙情報の会計検査と納税申告情報の会計検査を行うシステム。 |
C | 印紙情報管理システム:問題点のある増値税印紙を調査するシステム。 |
<実行>今まで、3つのフェーズで、実施された。
94年〜97年(第1期):ネットワークは国家税務総局から全国の数百の都市まで、印紙は100万元以上を対象として、システムの実運営が実施された。
98年〜2001年(第2期):ネットワークは4層すべて、印紙は2000年から10万元以上、2001年から1万元以上を対象とした。
2002年〜 (第3期):2003年からすべての増値税を対象とする。
<成果>国の税収の増加(94年以降、毎年前年比1000億元以上)に大きく貢献した。例えば、96年まで、上海を含む9都市がこのシステムを利用し、1億4,300万元の納税を追加した。
金カードプロジェクト
<目的>金融業務の情報化と、クレジットカードとICカードの普及によって、生活の利便性を国民に提供すると共に、キャッシュの流通と金融の管理を改善する。
<経緯>1993年から江沢民国家主席の提唱でスタートした。責任者は特別に設立した指導グループである。
<内容>10年の計画として、2003年に、3億人以上の人口をカバーできる全国の400以上の都市で、銀行が2億枚以上のカードを発行し、それと関連する銀行業務、端末設備、サービス環境を実現する。
<実行>3つのフェーズで実施した。
実験フェーズ(1994-1996):12の都市で、銀行が3000万枚のクレジットを発行した。
推進フェーズ(1997-1999):カードの発行範囲を人口1億人をカバーする50の都市に拡大した。6000枚以上のカードを発行した。
普及フェーズ(2000-2003):3億人以上をカバーする400以上の都市で、2億枚以上のカードを発行する。実際に、2000年まで、発行した銀行カードは2.77億枚を超えた。同時に、カードを受理できる銀行の業務スポットは12.5万ヶ所、受理できる商店10万軒、ATM3万7千台、POS29万台となった。ICカードも、2000年まで、6億枚以上を発行した、公共電話ICカード以外に、商業、交通、医療、保険、税務、公安、公共事業など多くの分野において利用された。2001年以降の目標として、銀行カードの共用と関連銀行業務の規範化、ICカード市場の協調拡大と多用途ICカードの開発、スマートカードの自主開発と住民票のICカード化の実験を実施する。
@ | 全国規模の公安総合業務用通信ネットワークの構築:公安領域における有線、無線、衛星通信のコンピュータネットワークを構築する。 |
A | 中国違法犯罪情報センター(CCIC)の拡大:既存のコンピュータ設備を更新する。全国規模の指紋自動認証システムを実現する。全国規模の非定住人口の管理を強化する。全国規模の公安総合情報システムを構築する。 |
B | 全国規模の公安指揮&調整システムの構築強化:全国規模の公安用秘密テレビ・電話会議システムを構築する。マルチメディア通信とリアルタイム画像転送を実現する。重大案件における協調能力を向上させる。公安関連テレビ教育とトレーニングを全国範囲で実現する。 |
C | 全国規模の公共ネットワークへの監視制御センターの構築:国内の公共情報ネットワークのセキュリティを強化する。ネット犯罪に防ぐ。 |
その他、2002年時点では、以下に示す金字プロジェクトが継続推進されている。