3. 欧州
イギリスでは、1994年に「未来の情報スーパーハイウェイの構築」が発表され、96年には「情報社会イニシアティブ」によって、ITに関連するプログラムの推進が開始された。
1997年5月に、首相がメージャーからブレアに変わった。ブレア政権は、情報社会イニシアティブを継承しつつも、1998年5月に新たに「我々の時代の情報時代、政府ビジョン」を発表した。
これを受け、1998年12月の「競争力白書」の中では、イギリスを2002年までに電子商取引のための世界最高の環境を有する国にすること、中小企業をITの利用に関してG7の中で最高レベルに引き上げること、等の目標を示した。電子商取引に関しては、1999年9月に発表されたe-commerce@its.best.ukの中に60のアクションプランが盛り込まれた。
現在は、2000年9月に発表された「UKオンライン」構想に基づき、電子商取引の推進、インターネット利用の普及、中小企業のIT化、行政のオンライン化、産業競争力(IT産業、エレクトロニクス産業、通信産業、コンテンツ産業)の強化に関する各種施策が展開されている。
UKオンラインにより、政府・行政機関の業務がオンライン化された。調達業務に関しては、次のような事例が報告されている。
環境省(DEFRA; Department of Environment, Food and Rural Affairs)の電子調達イニシアティブにおいては財務管理システムとの統一により、ペーパーレスの調達が可能となった。ネットを通じて供給者の電子カタログへのアクセスが可能となっている。
イギリス政府は、生産性向上による産業競争力強化を図るためにも、イギリスのIT、電子、通信、コンテンツ(ITEC; IT, Electronics, Communications and Content)産業を支援していくことを重要なテーマとして認識しており、多くのプロジェクトを推進している。以下はその一例である。
UKオンラインでは、科学基盤に対する投資に対するビジネス成果を確実にすること、大学に研究成果の商用化を動機付けること、そして大学と産業界の連携を強化促進することを目的とし、ITEC産業への知識移転やeサイエンスも重要なテーマとしている。
2000年10月、貿易産業大臣は、eサイエンスイニシアティブとして、3年間で9,800万ポンドを追加予算発表した。内訳は、応用研究(7,400万ポンド)、基礎研究(1,500万ポンド)、ハイパフォーマンスコンピューティング(900万ポンド)となっている。このイニシアティブは、さまざまな研究・工学分野で必要となっている世界的研究協力を支援するIT基盤を開発する研究プログラムである。
eサイエンスコアプログラム(e-Science Core Program)は、次世代のIT基盤を開発する国際的イニシアティブであるGRIDインフラ開発への、イギリス企業の参入を促進することを目標としている。2月、貿易産業省(DTI)はこのプログラムのために2,000万ポンドの追加投資を発表し、総投資額は6,000万ポンドとなった(内訳:科学技術庁1,500万、企業2,500万ポンド)。