提案時の目的に対する達成度は、前章で述べたとおりであり、 概ね達成されたと言える。 ブラッシュアップはユーザの便を図ることを目的としており、 実際にユーザの利用を待つまでは、その評価については、 予想の域を出ないであろう。しかしながら、 少なくとも、GUIの付加および解説資料・例題の充実が達成されたので、 一般的見解として相対的には利便性向上が見込めるであろう。 また、開発者自身、国際会議等の様々な場面におけるデモンストレーションを 通じて、その操作性アップとフレームワークについての説得力は 目を見張るものがあった。 よって、GUIによる効果はあったと評価しても良いであろう。 独立化したGUI部品モジュールも開発者が実際に利用し、 学生に利用してもらった経験から、評価に値すると考えている。
最後にブラッシュアップの行き届かなかった点の改良予定 (バージョンアップが許されるならば)と今後の課題について述べる。 目的達成度の低い以下の2点が該当するであろう。
一つは、ホーン節のグラフィック表示に関する点である。 OSLホーン節にこだわる限り、 現在のテキストベースの表示でも良いかも知れないが、 オブジェクト指向風マクロを導入している本システムでは、 フレーム構造が分かりやすくなるような表示の途もあったのではないかと 思われる。今後はこの点を考慮した表示および、できれば知識編集機能、 さらには、そのデバッグ機能を導入したシステムを構築することを検討課題としたい。
もう一つの検討課題は、GDA部分の独立化である。 これは核システムの大幅な改良を伴うため、今回は見送った。 しかし、核システムあってのブラッシュアップであり、 核システムの開発者が本ブラッシュアップの研究代表であることを考えると 大局的には優先すべき課題であろう。