今回は、ユーザが簡単にこれらのインタフェースを利用できるよう に、操作説明書を再編成し、また、例題を新たに追加した。
操作説明書は、klitclとjavakliともに、HTML形式に変更して、よ り分かりやすいマニュアルを作成した。javakli に関しては、説明 を拡充し、各メソッドや、ゴールについての説明について、より詳 しく説明を行った。また、javakliの実装方法については、その詳 細を別のPSファイルとして用意し、その内部構成や、プログラムの 動作、内部プロトコルなどについて詳細を記述した。さらに、 klitclとjavakliの双方の例題について、より詳しい説明を施し、 ユーザのプログラミングに参考に出来るように配慮した。
例題に関しては、新たにいくつか追加し、ユーザが利用する際の手 助けとなるようにした。
まず、klitclを利用した例として、「N-Queen」の例を追加した(図
)。これは、N-Queen問題のGUIをTcl/Tkで記述してあり、
その解を得るためにklitclを用いてKLICのプログラムを利用してい
る。解の表示をグラフィカルに行っているだけでなく、盤の大きさ
を変更したり、複数の解を表示させることが出来るようなGUIとなっ
ている。この例は、ユーザの入力に対応して、KLICのプログラムを
利用するといった、GUIを用いたプログラムの典型的な形をしてお
り、ユーザのプログラミングに際して参考になる例題といえる。
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: N-Queenの例題の実行画面 |
: インスペクタの例題の実行画面 |
javakliの例題として「インスペクタ」を追加した(図
)。これは、KLICのプログラムの情報をJavaのGUI
に出力するためのプログラムである。この例には、今回新たに作成
したインタフェースである、オブジェクト操作のインタフェースを
利用している。KLIC側から、GUI部のプログラムを含むオブジェク
トを作成する。そして、出力したい情報を、メソッド呼び出しによ
り、Java側に送るようになっている。
また、この例題では、KLIC側の対象として、javakliのインタフェー ス''そのもの''の内部状態を出力できるようになっている。ここで 利用しているのは、javakliの手続き呼び出しのインタフェースを 用いたN-Queenのアプリケーションであり、このときに動作してい るjavakliのKLIC側インタフェース部分の状態を、別に動作する javakliを用いたプログラムで表示する。これにより、javakliの内 部動作についても、ユーザが簡単に理解することが出来るようになっ ている。
上記の例以外にも、javakliのオブジェクト操作のインタフェース の拡張機能であるクラスメソッドや、クラスフィールドへのアクセ スを行う例題として「Sleep」を用意した。また、これまでに挙げ た例題に対してもいくつかの変更を行い、分かりやすい例題を用意 した。
今回提供するインタフェースの例題は、単にインタフェースの利用 方法を示すものとしてだけでなく、KLICのプログラミング上で非常 に役に立つ例題を用意してある。先ほど挙げた、インスペクタの例 はその1つである。これまで、KLICプログラムの内部解析は、その 情報をエラー出力などに出力するのが一般的であった。しかし、複 数のプロセスが関わり合うようなプログラムでは、それぞれのプロ セス情報の出力が入り混じり、非常に分かりにくいものとなってい た。そこで、このインスペクタを例を用いれば、プロセス別にまと めて出力することが可能となり、また、必要な情報だけを参照する ことが出来るようになる。
さらに、javakliの例題としてあげている「データI/O」(図
)も、一般のKLICプログラムの開発などに、大いに役
に立つ例題となっている。この例は、データストリームのインタフェー
スを用いて、KLIC側にデータをインタラクティブに与えることが出
来る。また、データの入出力に図的表現を用いて、グラフィカルに
操作することが可能であり、複雑なデータでも簡単に扱うことが出
来るようになっている。これにより、KLICプログラムに対して、複
数のデータに対する出力を確認したり、プログラムの動作状況をチェッ
クすることなどが簡単に行えるようになる。