表1は1タップル当たり180Bである3000タップルのリレーションにおけ る、ディスクからの読出し、書込み、PE間通信のI/O性能の比較を行なったもので ある。表中のtermioはKLIC標準のI/O、pobjioは今回定義したページオブジェクト を用いたI/Oの場合である。
この結果からも分かるように、ページオブジェクトを用いたI/Oは、KLIC標準のI/O に比較して著しいI/O性能の向上が得られることが明らかである。これは、ページ オブジェクトが、KLIC内部表現と外部表現の変換を行なうparser/unparserのオー バヘッドがなく、かつ大きなサイズのデータ単位でI/Oを行なうため、I/Oスルー プットが向上したからである。
性能解析の結果、メモリをキャッシュとして用いず、PE数が少なく、かつディレク トリの更新が殆んど無い場合を除いて、Fat-Btree方式の方が高スループットであ ることが確かめられた。特に、PEの数、タプル数、WRITEの割合が増加するにつれ て、Fat-Btree方式はB-tree全コピー方式よりもスループットが大幅に向上する(図 3および図4参照)。これは、PEの数が増 加すると、B-tree全コピー方式ではディレクトリ更新時のPE間の同期処理に時間が かかるため、システム全体のスループットが低下してしまうが、Fat-Btreeは一部 の限られたPEのみで更新処理を行なえるため、多数のPEによる同期処理が少なくて 済むからである。
またFat-Btreeでは、1つのPEに置くディレクトリのページ数が少ないため、キャッ シュメモリのヒット率が高くなり、それによってB-tree全コピー方式よりもレスポ ンスタイムも向上することが分かった。