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性能評価

HiRise制約解消系の性能を評価するために,巨大で複雑な制約階層を生成する アプリケーションを用いて実験を行った.プログラムのコンパイルには Microsoft Visual C++を利用し,実験の環境には,OSとしてWindows NTを用い, Intel Pentium II 266 MHzを搭載したPC/AT互換機を使った.

2(a)は木を編集するためのアプリケーションである.このア プリケーションでは,葉の間隔が一定になるようにノードを配置しており、 DeltaBlueなどの制約の連立ができない古典的な局所伝播法解消系では扱えな いが,HiRise では正しく解くことができる.制約が2882個,その内,必須 制約が6割程度の場合,初期配置を求める際の非インクリメンタルな制約解消 では、プランニングに2023ミリ秒、実行に10ミリ秒掛かった。一方、その後の インクリメンタルな制約解消では、ノードの追加において、プランニングに50 ミリ秒、実行に10ミリ秒,ノードのドラッグにおいて、プランニングに30ミリ 秒、実行に10ミリ秒以下という結果が得られた。

2(b)はフラクタル図形の1種であるコッホ曲線の近似を行い、 その操作を可能にするアプリケーションである。レベル5まで近似し、制約が 2051個、その内、必須制約が7割弱である場合に、初期配置のための非インク リメンタルな制約解消において、プランニングに2083ミリ秒、実行に50ミリ秒 要した.その後のインクリメンタルな制約解消では、図形の拡大・縮小の際, プランニングに201ミリ秒、実行に40ミリ秒,局所的なレベルの追加の際、 プランニングに441ミリ秒、実行に40ミリ秒という結果になった。

  

(a) (b)
図 2: (a) 木の編集 と (b)コッホ曲線の操作のためのアプリケーション

これらの結果から、HiRise が巨大で複雑な制約階層のインクリメンタルな 解消に対して高い性能を発揮し、インタラクティブなアプリケーションにおい て有効であることがわかる。



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