帰納推論システムにおいては、学習の際、正事例や背景知識の欠落により仮説 の生成が困難な場合があり、それを克服するための利用環境が必要であると考 え、学習結果(仮説)に対する利用者の理解を助ける機能、及びシステムの入力 情報である正事例、背景知識の動的な修正(デバッグ)を中心とした利用環境の 構築を行った。その際、帰納学習において欠落した背景知識を補完する問題 (アブダクション)は逆伴意に帰着でき、ゆえに最弱仮説の計算の枠組でこれら の欠落情報を補完できることを明らかにした[4]。さらに、正事例の 部分演繹計算によって得られた残差を質問文として評価すると、同様に欠落情 報が得られることを明らかにした[5]。
これらの手法を用いて欠落した情報を補完し、さらに利用者へ問い合わすこと により、対話的かつ漸増的な知識の修正(デバッグ)が実現される。