知識表現言語においては, 個体の集合概念を表す型とイベントおよびプロパティ を表す述語の型を導入した. これらの項と述語の型をはっきり区別すること で複数の項(または引数)の関係としての述語を, 一階述語論理に準じて意 味論を与えることができた. さらに, 命題をイベントとプロパティに区別す ることで, イベントではオブジェクトがその上位オブジェクトを導いて, プロ パティではオブジェクトからその下位オブジェクトへ属性継承を行なう機能 を言語の中に組み込むことができた. プロパティによる属性継承は, 属性的 述語によって述語の持つ複数の項すべてに対して適用されるのが特徴である.
論証構築支援ツールにおいては, 論証間のコンフリクトや論証間の優先関係についての意味を明確にした優先ルールつきの 拡張論理型言語を開発した.これは,非単調推論の枠組みの中に,仮説の優先関係を動的に 決定できる機能を組み込んだことになる. 近年,非単調推論の分野では,ルールの優先関係についての研究が大きく進展しており, 本研究も主に非単調推論の観点を重視して研究を 行った物である.