平成8年度 委託研究ソフトウェアの 最終成果報告書 |
データベースシステムの機能と性能を向上させるために、Paradeと名付 けた並列アクティブデータベースシステムを KLICを用いて実現している。ア クティブデータベースは、データベース管理システムとルールベースシステム を融合したもので、多くのデータベースアプリケーションにとって非常に有用 な機能を提供することができる。しかし、ルール処理のために性能が十分でな いという問題点を持つ。
そこで、我々は、分散メモリ型並列環境を前提に、アクティブデータベー スを高速化する幾つかの手法を提案している。データベースの問い合わせ間並 列は、KLICの永続プロセスを用いたネステッドトランザクションで実現してい る。KLICの共有論理変数を使ったパイプライン処理は、データベース演算間並 列に適している。データベース演算内並列は、データの水平分散配置によって 実現できる。ルール処理のためには、ネステッドトランザクションのサブトラ ンザクションをルール発火に対応させた祖粒度並列実行と、ルールの条件照合 において多数のトークンを弁別ネットワーク上に同時に流すことによる細粒度 並列実行が実現できる。
弁別ネットワークを用いた条件照合処理の性能は、プロセッサのクラス タ化とソフトウェアキャッシュの導入により、さらに高速化でき、弁別ネット ワークの最適化の時間を並列実行によって隠蔽する方法も提案している。これ らの各種並列化により性能が改善できるが、並列システム自身は、単純に構成 すると信頼性が劣化する。データベースシステムにおける堅牢性は性能と同時 に重要な要因であるため、我々は、Paradeの信頼性を高めるために、耐故障並 列ソフトウェアを KLICで実現する方法についても提案している。
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