平成8年度 委託研究ソフトウェアの中間報告

(25) LTB日本語文法のモデル化と新版文法規則の実装


平成8年度委託研究中間報告

1 研究テーマ、研究代表者:
 (1)研究テーマ
        LTB日本語文法のモデル化と新版文法規則の実装
        (オブジェクト指向分析による文法のモデル化と規則記述ための方法論の確立)
 (2)研究代表者(氏名、所属、役職)
        佐野洋、東京外国語大学・外国語学部、講師

2 記述項目:
 (1)研究進捗状況

  (1)文法のモデル化:LTB日本語文法規則(形態素解析規則)の枠組
の見直しを実施した。東京外国語大学・日本語専攻の修士学生、な
らびに大阪大学言語文化部の博士課程の学生等を交えた検討によっ
て、アウトライン作成とその文章化を実施している。
  (2)LTB日本語文法規則の再編:上記の文法モデルを使ってLTB日
本語文法規則を再編している。プロトタイプ版が出来、上記の文法
枠組を基に個々の規則の見直しを進めている。

 (2)現在までの主な成果

  LTB日本語文法の新版となる文法規則(形態素解析規則)のプロト
タイプ版を作成した。文法の枠組を検討し、文法枠組のガイドブッ
ク(TeX化文章)を作成した。規則の開発では、オブジェクト指向の
方法論をパッケージ化の方法として利用し、規則を部品とし、部品
の性質は理解され、標準カタログ(文法規則マニュアル)にその仕様
が記載できることを目標にモジュール化を行なった。

 (3)今後の研究概要

  規則の再利用を容易にする品質保証や性能テストの検討を行ない、
文法(形態素解析)規則を充実させる。同時に、個々の応用に対する
規則の利用促進のため、利用者要求に沿った規則の変更の手続きを
確立する予定である。「他人が作った規則を理解するのは困難であ
る」ことのないよう、文法枠組や規則の十分なドキュメント化を行
なう。このドキュメント化は、おそらく規則のモジュール化作業よ
りも労力を要するものと思われる。

 (4)今年度目標成果ソフトウェアイメージ

  成果ソフトウェア(文法規則)の動作プラットホームを UNIX から 
MS-Windows へ変更する。そのための利用者マニュアルの整備を行
なう予定で、現在、MS-Windowsベースの形態素解析エンジンを提供
するベンダーから資料を取り寄せ、インターフェースも含めた規則
全体の仕様検討を実施している。ターゲットには、工学的な研究の
利用者だけでなく、一般PC利用者も念頭に置いおり、従来ソフトウェ
アの使いやすさ向上だけでなく、市場規模の拡大も目指す予定であ
る。そのための GUI ベースのインタフェースを指向したドキュメ
ント化が新たに必要になる。

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