平成8年度 委託研究ソフトウェアの中間報告

(1) KLIC の実行時システムの改良・拡張

研究代表者:近山 隆 教授
      東京大学大学院 工学系研究科 電子工学専攻


  1. 研究テーマ、研究代表者:

    (1)研究テーマ
    KLICの実行時システムの改良・拡張

    (2)研究代表者(氏名、所属、役職)
    近山 隆, 東京大学 工学部 教授

  2. 記述項目:

    (1)研究進捗状況

    前年度までの KLIC の実行時システムの改良・拡張のための研究に加え, 今年度は KLIC の生成するオブジェクトコードの最適化をさらに進めるために, 抽象実行方式を用いた静的解析系の研究を進めている。また, KLIC の応用領 域を拡大するために, KLIC 上で動作する並列定理証明系 MGTP に着目し, そ の効率化および帰納論理プログラミングシステム構築のための基盤として用い るための研究を進めている。

    (2)現在までの主な成果

    • メタレベルのプログラミング (プログラム自体をデータとして扱い,プ ログラムの実行過程を観察・制御するようなプログラミング) を行なうための, ゴールオブジェクト機構を追加した KLIC システムを作成した。
    • ゴールオブジェクト機構を用いて, KL1 自身で記述したトレーサを作成 した。
    • 遅延タスク生成方式に基づく, 半自動負荷分散系を作成した。

    (以上は主として前年度までの成果)

    • KLIC の項出力系の改良すべき点の洗い出しを行なった。
    • KL1 のための抽象実行系の概略を設計した。
    • MGTP の効率化のための手法として, 原子論理式のサイズに注目したス ケジューリング方式を考案した。
    • 帰納論理プログラミングで用いられる推論を整理し, 定理証明過程とし てみなせるような形式化に着手した。

    (3)今後の研究概要

    • KLIC の改良版項出力系の設計と実装
    • KL1 のための抽象実行系の詳細な設計と実装
    • 原子論理式のサイズに注目したスケジューリング方式を用いたMGTP シ ステムの設計と実装
    • 帰納論理プログラミングの推論としての形式化の完成
    • MGTP 上で動作する帰納論理プログラミングシステムの設計と実装

    (4)今年度目標成果ソフトウェアイメージ

    • 改良・拡張を施した KLIC 処理系: KLIC-2.002 版を元に, ゴールオブ ジェクト機構などの機能拡張, ポータビリティの向上, 数多くのバグ修正など, 改良・拡張を施した KLIC の処理系
    • KL1 自身によるトレーサ
    • 半自動負荷分散機構 (KL1 自身で記述)
    • 抽象実行による静的解析系 (KL1 自身で記述)

www-admin@icot.or.jp