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研究の成果

研究上の成果

文法のモデル化

LTB日本語文法規則(形態素解析規則)の枠組の見直しを実施した. 東京外国語大学・日本語専攻の修士学生,ならびに大阪大学言語文 化部の博士課程の学生等を交えた検討によって,複数の専門家によ る日本語文法のモデル化を行ない文法モデルを作成した.現在,大 阪大学側を中心に文法モデルのマニュアルを作成中である.

LTB日本語文法規則の再編

上記の文法モデルを使ってLTB日本語文法規則(形態素解析規則)を 再編した.不足の規則は追加し,分析の誤っている規則は修正した. 分析対象の言語現象への対応関係が誤っている規則は再配置し個々 の規則の見直しを進めた.

外部発表論文リスト

  1. 佐野洋:「オブジェクト指向アプローチによる形態素分析規 則の作成」,東京外国語大学・語学研究所論集, 1997.

ソフトウェアとしての成果

LTB日本語文法規則

LTB日本語文法の新版となる文法規則(形態素解析規則)のプロトタ イプ版を作成した.規則の開発では,オブジェクト指向の方法論を パッケージ化の方法として利用し,規則を部品として標準カタログ (文法規則マニュアル)にその仕様が記載できることを目標にモジュー ル化を行なった.

Windowsへの動作プラットホームの移行

成果ソフトウェア(文法規則)の動作プラットホームを UNIX から MS-Windows へ変更している.Windows版の利用者マニュアルの整備 を行なう予定で,現在,MS-Windowsベースの 2 つの形態素解析エ ンジン(奈良先端科学技術大学院大学・松本研究室:ChaSen on Windows,(株)富士通研究所:Breakfast)を取り寄せ,動作環境を 構成し実装試験を実施している.ターゲットには,工学的分野の利 用者だけでなく,一般PC利用者も念頭に置いおり,UNIX上での従来 規則の使いやすさ向上だけでなく,PC市場での利用者層の拡大を目 指す.

プログラムサイズとドキュメント(4月末見込み)

  1. 新版LTB日本語文法規則
    7.125 Mbyte (辞書データ、文法 規則マニュアルを含む)
  2. 文法モデルマニュアル
    約 500 Kbyte (LaTex 形式)
  3. 利用者ニーズの分析結果
    約 200 Kbyte (LaTex 形式)

残された課題

(自己)評価

文法のモデル化,LTB日本語文法規則の再編が完了し,それぞれの 利用者マニュアルを作成している.

MS-Windows プラットホームで動作する形態素解析エンジンへの文 法規則の対応は利用者層の拡大を狙ったものである.当初の研究計 画になかったが,パソコン市場の猛烈な拡大は無視できるものでは なく,今後もさらに注力をしてゆきたい.

再編した文法規則の再利用性の検証が必要である.工学部における 学部学生用の自然言語演習に必要とされる文法規則の作成等を通じ た検証実験が未実施のままである.従って,文法規則を利用するア プリケーション開発におけるソフトウェアの生産性や信頼性の向上 の度合の測定が課題で残る.本研究のアプローチを客観的に主張で きるようこの点を改善したい.また,検証結果を評価し,その結果 を文法と文法規則に反映してゆくことも今後の課題である.



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