第五世代コンピュータプロジェクト及びその後継プロジェクトにおいて、応用 ソフトウェアと並列推論マシンの橋渡しをする「高機能推論エンジン」として、 モデル生成法に基づく並列推論システムMGTPを開発してきた。 MGTPは、PIM/m-256PEシステム上でほぼ線形に近い良好な並列性能を達成し、 有限代数における未解決問題を解く事にも成功するなど成果をあげてきた。
上記背景の下で開発を進めてきたMGTP処理系を高性能で可搬性に優れ、使い勝 手の良いシステムに成長させ、広く普及していくことが本研究の目的である。 昨年度は、PrologやKL1(PIM上で動くもの)、KLICで記述されていたMGTPシステ ムの各部品を全てKLICで再記述することにより可搬性を高めた。各部品はUNIX のコマンドとして利用できるので、パイプを用いて多様な機能を提供すること が可能となった。また、従来のコンパイル方式に対しインタプリタ方式を採用 することで、前処理時間の大幅な削減にも成功した。
今年度は、ケース分割に起因する冗長計算の削除を目指すとともに、データの 高速検索機能を取り入れるなど、MGTPの高性能化に重点をおいて研究開発を進 めると共に、遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた定理証明システムについても検 討した。また、ユーザインターフェース機能の向上も図った。