今後の課題
現在、システムの核となる部分の実装はほぼ完了した。今後の課題としては、 残された部分の開発を進め、システム全体の完全な実装を目指したい。また、 さらなる並列性の検討も併せて行なっていきたいと考えている。具体的には、 複数述語の並列学習、A*-likeアルゴリズムの並列化などが必要であろう。さ らに各種ベンチマーク問題などを用いて、実装されたシステムの評価、有用性 の実証を行なうことが出来ると考える。
新たな展開への展望
一般にKDDでは、(1)データから有用なものを選択して目的データを形成し、 (2)前処理、変換を行ない、(3)データマイニングの技術によってパターン抽出 を行なう。(4)最後に解釈、評価を行なうことで、抽出されたパターンを知識 に変換する、という手順をとる。データベースと帰納推論を直接結合すること、 また対話的な操作ツールを備えることでデータマイニグのみならず、これら KDDにおける前処理や、後処理をも包含するツールの開発が出来ると考えてい る。
副成果としてのKL1による並列データベースの可能性
Progolの並列化の過程で、KL1を用いた新たな並列データベースの可能性が示 唆された。これはMGTPの技術を基礎とした、KL1による並列データベースの構 築である。基本的なアイディアは、データベース中のデータをMGTPの初期モデ ル、データベースへの問い合わせをMGTP節とみなすことで、ボトムアップに問 い合わせ評価を行なうというものである。今後はこのアイディアを基に、デー タベースと密に結合した、帰納論理プログラミングシステムの構築を目指す。