平成7年度 委託研究ソフトウェアの中間報告

(9) 高速仮説推論システム

研究代表者:石塚 満 教授
      東京大学 工学部 電子情報工学科


[中間報告]

1)研究進捗状況
論理に基づく仮説推論は、不完全な知識も仮説として知識ベースに含めて 扱える柔軟で基盤性を有する知識処理の枠組みであり、実用性も高い。しかし, 厳密解の計算には指数オーダの推論時間を要するため、高速化がその大きな課 題となっていた。我々はコストに基づく仮説推論に対し、準最適解を多項式オー ダで高速に求めるネットワーク化バブル伝播法 (以下NBPと記す。 NBP:Networked Bubble Propagation method)を考案、開発し、推論速度の大幅 な向上を可能にした。しかしこれまでのプロトタイプシステムでは、非常に大 きな仮想記憶領域が必要であること、ユーザインタフェースが整備されていな い等の問題があった。

研究前期(95年9月〜96年3月)では、本高速仮説推論システムのソフトウェア ツールの核となる NBP の機能向上と述語論理部との結合を意識して、C言語に よりシステムの再インプリメントを行っている。これと並行して、研究中期 (96年3月〜96年9月)に予定しているユーザインタフェースの整備のための詳 細設計と基本部分の実装、及び KLIC を用いる述語論理部との結合の準備行っ ている。

2)現在までの主な成果

3)今後の研究概要

4)今年度目標成果(イメージ)
今年度は、準最適解を多項式時間という実用的な時間で求めることのでき るネットワーク化バブル伝播法の再インプリメントを行い、ポータビリティの 向上と実行に必要な記憶容量の削減を図る。またX-windowシステム上でのNBP ネットワークの動的状態表示機能、推論過程のトレース機能、知識ベースの作 成/編集機能などを統合したユーザインタフェースの詳細設計、および基本部 分の実装を行う。

次年度に、推論深さの段階的拡大と演繹データベース手法の利用により述語論 理表現を扱う処理ソフトウェアと統合し、汎用性をもつ高速仮説推論ソフトウェ アツールとして一般公開する予定である。



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