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研究上の成果

膜タンパク質判別および二次構造予測についての研究成果を以下に述べる。

膜タンパク質判別: 連続したアミノ酸の疎水性の変化(周期性)と平均的な疎水性を パラメータとした膜タンパク質判別境界線を用いて、全てのアミノ酸配列の解析を行っ たところ、全体の30%が膜タンパク質と予測(判別)された。さらにこれらの情報を 膜タンパク質データベースとして活用するために、解析に用いたタンパク質に対し立体 構造情報や論文データを参照しながら判別精度の信頼性を検証した。 その結果、本来水容性タンパク質でありながら膜タンパク質と判別されたものには、 ホルモンに関与したタンパク質の前駆体が多く見られた。 水容性タンパク質の前駆体は立体構造として成熟するまえに一時的にペプチド末端に 高い疎水性の領域を持つ場合があり、それが膜タンパク質と判断された理由と考えられる。 また逆に本来膜タンパク質でありながら水容性タンパク質と判別されたものに関しては、 膜外領域(ループ領域)の割合が多い受容体タイプが多く見られた。 この解析結果より現在、判別精度の向上と物理化学的情報を加味した膜タンパク質 データベースの構築を行っている。

二次構造予測: 従来の二次構造(膜貫通ヘリックス)予測法は、恣意的な部分があり 自動化が困難であったが、膜貫通ヘリックスの形成メカニズムをアルゴリズムに取り入 れることにより予測精度が向上され、完全な自動化が可能になった。 このシステムを用いてデータベースより二次構造存在の分かっている膜タンパク質と 立体構造の分かっている水容性タンパク質の膜貫通ヘリックス存在予測を行った。 結果を表1、2に示す。

解析の結果、負の正しい予測率は94%で、正の正しい予測率は100%になった。 また既に立体構造の分かっている膜タンパク質を対象に領域予測を行った結果、85% の予測精度が得られた。

表1 水容性タンパク質における膜貫通ヘリックス存在予想結果

表2 膜タンパク質における膜貫通ヘリックス存在予想結果



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