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(4)成果についての自己評価

自然言語処理のための文法や辞書の開発においては,それらが実際の解析場面 においてどの程度の機能を有するかを見定めることが重要であるにもかかわら ず,その評価方法に統一的な方法がなく,正解例との差を計るといった大枠の 方法以外はあまり考えられていなかった.特に,文法や辞書の開発者が意図し ない解析結果しか得られない場合,解析プログラムの内部動作を知らなければ, その原因を特定することが難しかった.しかし,辞書などの言語資源は,解析 手法とは独立に開発されることが多く,開発者が言語解析プログラムの詳細を 知らなければならないのは厳しい要請である.本システムは,解析過程でどの ような中間結果が得られ,それがどのように取捨選択されたかを利用者に表示 することにより,種々の言語資源が言語処理にどのように機能しているかをわ かりやすく表示することを狙っている.これにより,辞書等の言語資源開発者 が,解析プログラムを詳細を知ることなしに,言語資源の効果を確認すること が可能になる.

本年度の開発では,文法が対象とする言語現象がまだ限られていること,また, 曖昧性解消の効果関する支援に焦点が当てられており,解析の失敗の原因の特 定の支援についてはまだ考慮されていないので,これらの点を今後拡張してい く必要がある.



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