このコースは、過去 2回のコンテストの「並列環境部門」に対応するものである。 「並列環境部門」では並列処理への取り組み方も最初から考慮して審査したが、 今回は台数効果が全く出ていなくても、 また、プロセッサを 1台しか使わないプログラムであっても、 とにかく速いものを求めることにした。
スピードコースには 8作品の応募があった。 そのうちの二つは同一作者からのものであったが、 エントリコースと異なり一人一作品という制限はないため、 独立した作品として審査することにした (受賞決定にあたっては考慮)。
8作品中 5つが、速度計測に用意した試験データ 8本のすべてについて正常動作した。 これらの試験データはすべてサイズの大きいものである。 5作品のうち、ひとつを除くすべての試験データに対して最もよい成績をあげた作品を 最優秀賞とした。 この作品は、実行初期はプロセッサ台数が増えると遅くなる傾向が見えるが、 時間が経つに従い台数の多いものが少ないものを追い抜いて行き、 最後は (テストしたうちで最多の) 16台のものが最高得点をあげる傾向があった。 これは、初期のうちは並列によるオーバヘッドが並列効果を上回ったためと思われる。
他の4作品はすべて優秀賞とした。 個々の作品には
残りの 3作品は、用意した大きめの試験データについては、 メモリ不足や時間切れのために解が得られなかった。 しかしながら、別途用意したサイズの小さいデータでは正常に動作した。 データ表現や処理の効率性に問題があったのであろう。 3作品のうちのひとつは優秀賞受賞作品と同一作者によるものであるため圏外とし、 他の 2作品のみを佳作とした。
審査のより詳しい内容については 「審査の詳細」参照のこと。
今回の応募作品は小さいデータならすべて正常に動作し、作者の努力がうかがえた。 また、並列度の高い実行が最終的には一番よい解を出すという傾向が多く見られ、 並列処理の利点を生かしたプログラミングをしていただけたようだ。 一方やや残念なのは、応募作品のすべてが盲目的な組合せ探索または ランダムな解の生成に頼っており、 分枝限定法などの枝刈り法や、焼鈍し法などの改善法を適用したものが 見られなかったことである。 課題が難しく、仕様を満たす解を得るだけでも大きな労力が必要だったのかもしれない。