第五世代コンピュータプロジェクト


近年のコンピュータ技術の進歩は、多くの新しい応用分野を生み出しました。知的活動をより高度に支援する、知的なコンピュータが求められるようになりました。

日本においては、新しいコンピュータを生み出す要素技術が成熟しつつあり、第五世代コンピュータプロジェクトが発足しました。第五世代コンピュータプロジェクトは、知識情報処理に適した新しいコンピュータを目指しました。

知識情報を扱うために、コンピュータは計算するマシンから、それ自身が専門的知識を持ち、それを基に推論を行うものに進化しなければならないと考えられます。

そのために、第五世代コンピュータでは、三段論法のような機械的推論操作を基本演算としています。推論操作を基本演算とするプログラミング手法は、論理プログラミングと呼ばれ、知的なソフトウェアの作成を容易にします。

複雑な知識情報を扱い、スムースな対話処理を可能とするため、高度並列処理技術が必要となります。第五世代コンピュータでは、並列処理技術、知識処理、および推論技術を論理プログラミングにより結び付けようとしました。

プロジェクトの最終目標として、並列オペレーティングシステムと要素プロセッサを1,000台規模で結合した並列推論マシンを含むプロトタイプシステムの試作を目指しました。

1982年4月、第五世代コンピュータは、期間10年の国家プロジェクトとしてスタートしました。この期間は、前期3年、中期4年、後期3年にわけられました。10年間でおよそ500億円の研究開発予算が付けられました。

プロジェクトの実施にあたり、新世代コンピュータ技術開発機構(ICOT)が設立されました。

戻る