第5世代コンピュータの研究開発の必要性をコンパクトに分かり易く、説明しています。
【項目】
- コンピュータ・ニーズは限りなく広がる
- コンピュータの技術進歩は速い
- 90年代のニーズに応える第5世代のコンピュータ
- コンピュータ産業は我が国の将来にとって重要な分野である
- 第5世代コンピュータ研究開発の進め方
- 諸外国における新コンピュータ開発の動向
- 参考.第5世代コンピュータの機能
【概要】
●「1. コンピュータ・ニーズは限りなく広がる」では、
コンピュータはすでに情報活用の不可欠なツールとなっている。そして1990年代における情報化社会像を展望したとき、諸問題を解決するためのさらに高度な技術が要請される。
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と述べ、90年代のコンピュータへの要請を分析し、第5世代のコンピュータがどのようなものでなければならないか説明しています。
●「2. コンピュータの技術進歩は速い」では、
コンピュータに関する技術進歩はきわめて速く、高速化、小型化が著しく進展した。コンピュータが開発されてから約35年間という短期間に、超LSIを使用する第4世代の技術レベルに達しようとしている。
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と述べ、
を表や図などを使って説明し、
- 今日のコンピュータのかかえる問題点
- 技術基盤の熟成と新技術に対する期待(シーズ技術)
を挙げて、いわゆるノイマン型コンピュータである、従来のコンピュータの理論や構造は今後の飛躍的な機能の拡大には応えられないと述べています。
●「3. 90年代のニーズに応える第5世代のコンピュータ」では、
第5世代のコンピュータは90年代に向かって多様化する社会的要請に応え得る機能をもつ、知識情報処理指向のコンピュータである。
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と述べ、
- 第5世代コンピュータに要請される機能
- ユーザの観点からの具体的要求機能
- 第5世代コンピュータの研究開発目標
- 第5世代コンピュータの技術開発課題概要
を具体的に述べています。
●「4. コンピュータ産業は我が国の将来にとって重要な分野である」では、
コンピュータ産業は我が国産業構造の中核をなすものとして、今後とも我が国経済社会の発展に不可欠な重要分野である。
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と述べ、
- 産業別売上高に対する研究開発費比率(55年度)
- IBM と国産A社コンピュータ部門との比較
- 第5世代コンピュータ波及効果の樹
を示すことによって、第5世代コンピュータの研究開発は、利用分野を飛躍的に拡大する波及効果が期待できるが、極めて先端的な高度の技術開発を要し、リスクが多い。よって、第5世代コンピュータの研究開発は、政府自身の強力なイニシアティブのもとにこれを推進していかなければならないと述べています。
●「5. 第5世代コンピュータ研究開発の進め方」では、
第5世代のコンピュータは1990年代初頭に出現するといわれている。1990年にプロトタイプを実現するためには、早急に研究開発に着手しなければならない。
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と述べ、
3分割されたプロジェクト期間に対する「想定される研究開発スケジュール」と「昭和57年度予算要求額」、「昭和57〜59年度要求見込み額」が示されています。
●「6. 諸外国における新コンピュータ開発の動向」では、
- 問題解決・推論システム
- 知識ベース・システム
- 知的インタフェース・システム
- VLSI技術
に関する、諸外国の開発動向が表で示され、第5世代コンピュータの研究開発の方向性は、世界的な動向と一致するものであり、技術先進国あるいは企業から非常に注目されていると述べています。
また、昭和56年10月19日〜22日に開催された第5世代コンピュータ国際会議の参加状況を示し、参加者が我が国の第5世代コンピュータ研究開発プロジェクトの意義や目標を高く評価しており、今後も情報交換を是非継続して欲しい旨の強い要望があったことが述べられています。
●「参考. 第5世代コンピュータの機能」では、
以下の8つの機能を挙げ、それぞれを具体的に説明しています。
- 目、耳、口のあるコンピュータ
- 話がわかるコンピュータ
- 常識ある問題解決型コンピュータ
- 高度機能分散システム
- プログラムレスを目指すコンピュータ
- 多形態データベースを持つコンピュータ
- 知識処理に適した超高速コンピュータ
- 自己修復機能を目指すコンピュータ
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