10.ゴールに依存した抽象化を用いた法的推論システム:GDA-LES
(『ゴールに依存した抽象化を用いた法的推論』研究のソフトウエア)

［目次］

1. ブラッシュアップ対象ソフトウェア名称
2. 体制／方法
3. 想定されるブラッシュアップ成果

［ブラッシュアップ対象ソフトウェア名称］

• ゴールに依存した抽象化を用いた法的推論システム:GDA-LES(『ゴールに依存した抽象化を用いた法的推論』研究のソフトウエア)

［体制／方法］

(1) 体制

	氏名	所属
研究代表者	角田篤泰	北海道大学法学部

(2) ブラッシュアップの方法

開発は代表者が基本的に一人で行い、(3)の線表に沿って作業を進める。作業手順に関してコメントですべきことを以下に記す。

• GUIの開発については、GUIモジュールのプロトタイプが既に完成しているため、これを整理改良して本体に結合する。
• 例題については、実際の法律問題を２，３解析した上で、 サンプルの知識ベースを記述し、リリースする。
• マニュアルについては、GUI開発後、その画面イメージに従って記述する。

［想定されるブラッシュアップ成果］

1. ブラッシュアップ項目

   • ソフトウェアの操作性の向上

     これまでのキャラクタベースのインターフェース（以後CUIと呼ぶ）に加えて、GUIを付加する。以下のGUI機能が加えられる。

     1. 推論の証明木のグラフィック表示
        1. 具体レベルの証明木
        2. 抽象レベルの証明木

     2. 知識ベースのグラフィック表示
        1. 概念階層のツリー表示する。
        2. 領域知識ベースのホーン節をグラフィカルに表示する。

     3. 操作コマンドはすべて、マウスによるボタン・メニュー操作となる。

     これまで法的推論のために特化した構成でのみ利用可能としていたが、オーダソート論理のインタプリタ機能とGDA機能を単体でも利用できるようなインターフェースを提供する。

     GUIのための部品モジュールを独立に使用可能な形で提供する。今回GUI作成で用いる部品モジュールはSICStus-PrologからTcl/Tkを呼び出すライブラリを利用しているが、SICStusは最低限のプリミティブしか用意していないため、ユーザが利用する際、不便であった。そこで、オブジェクト指向ライクな上位モジュールをかぶせ、簡単にGUIを作成できるようなライブラリを用意した。本システムもこのモジュールを利用している。このライブラリの利用によって、プロトタイプを作成するプログラマや研究者がデモなどのためにとりあえず、GUIを付加したいときなど、Tcl/Tkの勉強や汚いコードの記述作業を省略することが可能である。実際、現ベータ版でも、学生から好評を得ている。

     以上のブラッシュアップにより、初心者でも直観的に利用でき、特に、法律関係のユーザが利用する可能性も見込まれる。また、GDAやオーダソート論理（本システムではF-Logicのサブセットとも言えるマクロ言語を用意した）の研究・学習への利用、およびサブルーチンとしての利用が見込まれる。

     GUI部品モジュールリリースの成果は上述の通りである。

   • 操作説明書や例題集の拡充
     1. マニュアル
        • 新規に導入されるGUIに関する操作説明を記述する。
        • オーダーソート論理プログラミングの入門を記述する。
          現在日本には、オーダソート論理に基づくロジックプログラミングの平易な教科書がないので、処理系付きでその解説がなされることは有効であると考えている。

     2. 例題
        • 実際の法律問題の簡単な例題を加える。
          トイ例題でなく、実際の法律の議論構成を利用した法的推論を勉強したい法律関係の学生からも実際に要請があり、これに答えることになる。
        • オーダソート論理の入門・解説に必要な例題を加える。

   • プログラムや用いられたアルゴリズムの解説の拡充

     独立化されたGUI部品モジュールの内部仕様書の提供 独立モジュールとして利用可能なように、単にマニュアルを付加するだけでなく、全データ構造と全メソッド（重要なローカル述語も含む）の仕様とその手続き内容を記述する。