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研究の背景と目的

平成7年度及び8年度における委託研究として、ブール環上の多項式環におけるグレブナー基底に基づく 集合制約ソルバーの作成をおこなったが、その後われわれはブール環の拡張である Von Neumann regular ring においても、われわれのグレブナー基底に関する結果が拡張できることを証明した。 これらの結果は、1998年の8月に開催された計算機代数の国際会議 ISSAC'98(International Symposium on Symbolic and Algebraic Computation)で発表された。(http://wwwteo.informatik.uni-rostock.de/ISSAC98 参照) この中で証明された結果の一つを用いると、集合ブール環上の多項式環におけるグレブナー基底が、 係数環の全体集合の要素の個数を n としたとき、最も単純なブール環である 0,1 上の多項式環における グレブナー基底の計算を n+1 回行うことによって計算することが可能になる。 この計算方法はブール方程式の解法に、ノントリビアルな並列計算の可能性をもたらす画期的な方法である。 実際のインプリメントにおいても、従来の方法とは比べものにならない程のスピードアップが期待できる。 というのも、この n+1 回の計算は、完全に独立した分散計算であり、しかも 0,1 上の多項式環における それぞれのグレブナー基底の計算は、もとの集合ブール環上のグレブナー基底の計算よりもはるかに小さい計算時間で 計算可能になるからである。 今回のブラッシュアップでは、平成8年度に作成したプログラムを書き換えることで、この分散計算を KLIC の言語仕様を利用した自然な形で実現させたい。上述のように単一計算機でも、十分なスピードアップが見込まれるが、 PVM 等を利用した並列計算環境において、ほとんどリニアーな台数効果が期待できる。



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