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おわりに

従来のJava-CMGTPで効率的実行の障害になっていた多重環境の処理を工夫した 結果、これをほぼ解消することに成功した。また、基本MGTP自体の効率改善を 目的として、項メモリアルゴリズムの改良、節インデクシング機能の追加など を行い、実行効率を格段に向上させることに成功した。

従来は、Java-MGTPとJava-CMGTPの二つのシステムを提供してきた。機能的に は、Java-CMGTPはJava-MGTPを包含するが、効率的には、Java-MGTPが Java-CMGTPに勝っていた。つまり、Java-MGTPで解ける範囲の問題については、 Java-CMGTPを使わずに、Java-MGTPを利用した方が効率的であった。このよう な理由により、二つのシステムを提供してきたわけである。しかし、上記改良 の結果、Java-CMGTPとJava-MGTPとの効率上の差をほとんどなくすことに成功 したので、今年度は、Java-CMGTPシステム一つだけを提供することにした。シ ステムが一本になったことで、利用上の煩わしさが軽減されると、期待される。

また、証明木を描画するGUIシステムによって、証明木の形状をリアルタイム に表示できるようになった。従来は、証明が終了しないと証明木を見ることが できなかったので、証明に長時間(もしくは無限時間)要する問題の証明木の形 状は分からなかった。したがって、なぜ証明に時間がかかるのか、といった疑 問に対しての、証明木の形状の観点からの示唆はまったく得られなかった。こ のような問題に対して、リアルタイム描画機能は特に有効である、と考える。

今年度、当初の予定では、マルチスレッド化による並列処理も行うはずであっ たが、ほとんど手をつけられなかった。これは、CMGTPの新実装方式の検討お よび項メモリに関する考察に時間を割いたためである。今後、Javaによる並列 処理の研究分野にもチャレンジしていく予定である。



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