平成7、8年度AITEC委託研究「KLIC上のMGTP処理系」において、自動推論シ ステムMGTPをKLIC上に構築し、MGTPをUNIX上で利用できる環境を整備し、第五 世代コンピュータプロジェクト技術の普及を図ってきた。
その間にWWWブラウザが急速に普及し、これとインターネットを利用した情報 配布技術が一般のものとなった。そして、多くのWWWブラウザ上で標準的に実 行することのできるJava言語が注目されるようになった。Javaで実装されたソ フトウェアは、その普及を図る上で必要となる二つの技術的課題(1)多くのプ ラットホームで利用可能であること、(2)インターネットを通じて簡単に配布 できること、を自動的に解決している。
このような技術動向を受けて、平成9年度AITEC委託研究「汎用並列マシン上 のMGTPと高度推論機構の開発」では、JavaによるMGTPの実装を行ない、KLIC版 のMGTPと同等以上の処理性能を出すことに成功した。この委託研究では他に、 汎用並列マシン上のMGTPの並列化のKLICによる実装と評価、JavaによるGUIシ ステムの構築、MGTPへの探索制御機能の付加の予備的実験、制約MGTPの改良を 行なった。
一方、これまでに多くの版のMGTP処理系を配布してきたので、「どれがスタン ダードなのかが、利用者の立場からみてわかりにくい」、といった声もある。 また、配布している処理系は、エラー情報に関してはほとんど関知していなかっ た。このように、利用者に対して必ずしも使い勝手の良いシステムとは言えな かったので、この点に対する改善の期待が高まっていた。