平成9年度 委託研究ソフトウェアの中間報告

(18) 移動ロボットの並列協調制御ソフトウエアの研究開発

研究代表者: 溝口 文雄 教授
東京理科大学 理工学部経営工学科


研究テーマ、研究代表者:
(1)研究テーマ
移動ロボットの並列協調制御ソフトウエアの研究開発

(2)研究代表者(氏名、所属、役職)
溝口 文雄、東京理科大学 理工学部経営工学科 教授

記述項目:
(1)研究進捗状況

複数台のロボットの動作制御を統一的な形式で表現するために, 個々のロボットやセンサー系をロボティックエージェントとみな し,エージェントの階層モデルの提案を行なった.その階層モデ ルを記述するために,klicを親言語としたエージェント言語R2 とエージェント記述形式D2,及びR2で記述されたプログラムを klicに変換するためのコンパイラを開発した.

R2はKL1のシンタックスを拡張したものであり,エージェント階 層間の通信をストリームで行なう際,通信チャネルの省略を可能 にした言語である.この言語を用いて,既に昨年作成されている マニピュレータ群によるマルチエージェントシステムの記述を行 ない,プログラムコード量が33%削減されたことを確認してい る.

次に,本研究のテーマでもある移動ロボットとマニピュレータ, 及び視覚センサ間の,すなわち異種ロボティックエージェント間 の協調システムをR2上で記述した.これにより本言語R2と記述形 式D2を用いることで,様々なロボティックエージェントが統一し た枠組で簡潔に記述できることを示した.

(2)現在までの主な成果

次の学会等で成果を発表した.

日本ソフトウエア科学会(1997年度 第14回大会)
  • 帰納論理プログラミングにおける並列仮説探索法
    大和田 勇人, 溝口 文雄
  • 強化学習を利用した人間・ロボット協調手法
    平石 広典, 溝口 文雄
  • ロボッティックエージェントにおけるタスクレベル協調アーキテクチャ
    西山 裕之, 大和田 勇人, 溝口 文雄

人工知能学会(1997年度 第11回全国大会)
  • 状態・行動モデルに基づく移動ロボットのための強化学習
    平石 広典, 溝口 文雄
  • マルチロボットのための遠隔制御システム/実験環境の設計
    西山 裕之, 溝口 文雄

(3)今後の研究概要

R2-D2でロボットの協調制御を実現するには,並列論理プログラ ミングの知識が必要である.特に同期,通信はコミットメントを 知っている必要がある. この問題を解決するために仕様記述形式を提案し,ロボット間交 渉を宣言的に記述できるようにすることが今後の予定である.

(4)今年度目標成果ソフトウェアイメージ

次のソフトウエアが成果物である.

  1. R2-D2プログラムのKLICプログラムへの変換系.
  2. Java言語で書かれたリモートインタフェース
  3. 代表的な市販のマニピュレータ,移動ロボット,移動カメラ の制御ソフトウエア.R2-D2プログラムとはソケット通信で 接続される.
  4. 分散機器を統一的に制御・操作するWeb-Topコントローラ. ブラウザを使用する形で操作できるもの.


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