KLICは、並列論理型言語GHCの実行環境の一つであり、様々な環境 で手軽にGHCを利用することができる。しかし、その反面、グラフィ カルユーザインタフェース(GUI)を提供しておらず、テキストによ るデータの入出力しかサポートされておらず、それも使いやすいと は言えないため、アプリケーションの利用が困難であるといった問 題がある。一方、オブジェクト指向の言語の一つであるJavaは、 様々なプラットフォームで利用できるシステムを提供しており、 GUIとしてJava AWT(Abstract Window Toolkit)を標準で提供してい る。このようなことから、Java は、KLICのビジュアル環境の構築 に適していると考えられ、2言語間で適切な通信を行うことにより、 Javaのプログラムを利用してKLICのGUIを提供できる。
そこで、KLICとJavaの2言語間の通信をメッセージパッシングとし て扱い、そのメッセージをやり取りする各言語上のインターフェー スに関して考察を行う。本稿では、KLICとJavaで、言語によって提 供されるデータ型が異なったり、実行パラダイムの違うなどの問題 があるため、これらをどう扱うかについて検討を行い、実際のシス テムの実装について説明を行う。
なお、本研究の関連するものとしては、論理型言語 Prolog と Java とのインタフェースを実装している MINERVA[1] や JIPL[2]などがある。