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はじめに

制約とは宣言的関係として表現された知識であり,特に自動管理メカニ ズムによる知識処理手法の提供を意図するものである.制約に関する研究は, 1970年代後半のCONSTRAINTSシステム[7]や, ThingLabシステム[1]などの研究に始まり, 1980年代後半にCLP(R) [5]に代表される制約論理型言語の登 場によりさらなる盛上りを見せ,知識処理研究における最重要分野の1つとし て広く認識されるようになった.その応用はエキスパートシステムのような知 識処理だけでなく,対話型ユーザーインターフェースの構築や,ドローイング ツールのようなエンドユーザー向けアプリケーションにおける利用など多種多 様であり,今後ますますの広がりが期待される.

制約ベースのシステムの能力を特徴付ける最も基本的な基準として,従来多く のシステムで採用されてきた古典的な単調制約解消と,制約階層などのより先 進的な非単調制約解消がある.非単調制約解消では,いわゆるデフォルトの制 約を扱うことができる.一般に制約を過不足なく指定することは困難であり, 柔軟な解集合の制御を実現する非単調制約解消は,複雑な実世界の問題のモデ ル化により適している.特に 制約階層 [2]は, 強さと呼ばれる優先 度を表現するための任意個のレベルを提供する,理論的に洗練された体系を持 ち,同時にDeltaBlue [4]やSkyBlue [6]などの効率的な制約解消アルゴリズムが存在するこ とで知られ,階層的制約論理型言語や対話型ユーザーインターフェースへの応 用が盛んに研究されている.

本研究では,我々が提案した 階層連立1次方程式 [8]gif (hierarchical linear system,HLS)という階層制約 系理論を用いて,1次方程式からなる制約階層のための制約解消系 HiRise gif を開発した.HLSの理論およびアルゴリズムは線形代数と線形計算を基礎とし ており,従来のグラフ理論を基礎とする局所伝播法と異なり,1次方程式を適 切に扱うことができるという特徴を持つ.このため,局所伝播法に基づく制約 解消系と置き換えることにより,対象となるシステムやアプリケーションの信 頼性を向上できる.また,制約解消を プランニング 実行の2段 階に分割し,さらにプランニング段階をインクリメンタルに処理することによ り,巨大で複雑な制約階層に対して,局所伝播法より優れた効率を実現してい る.



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