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研究の背景と目的

現在、インターネットを中心として、情報化が加速されており、企業において もデータウエアハウスによる統合情報システムの確立が望まれている。そこで 期待される機能は、氾濫する膨大な情報の中から如何にして有益な情報を抽出 するかである。現在、そのような要求に答えるための技術として最も注目を浴 びているのが、データベースからの知識発見、あるいはデータマイニングの技 術である。ところで、データマイニングの技術は、マーケティングへの応用が 良く知られている。たとえば、商品間の組合せで、良く売れる組合せが分かれ ば、それらの商品を近くに置くことによって、売上がさらに伸びることが考え られる。

実際、データマイニングへの期待は、より大きな広がりを見せている。株価や 為替レートの予測問題や、アンケート調査の解析などである。このように、デー タマイニングへの関心が高まれば高まるほど、現在開発されているデータマイ ニングツールとの要求される機能面でのギャップが大きくなってきている。す なわち、現在データマイニングのための帰納推論エンジンとしては、ID3や C4.5などの命題論理学習器がニューラルネットワークとならんで、主要なツー ルとして一般に利用されてきたが、これらのエンジンは、より現実的な複雑な 問題を扱うことが出来ない。それは、仮説を表現する言語の表現力の不足に起 因する。

一方、帰納論理プログラミングは、一階述語論理に基づく機械学習の新しい方 法論として、現在注目を浴びている。それは、ID3やC4.5などの決定木を生成 する命題論理学習器に対して、データ間の関係に潜んでいる共通の論理的パター ンを抽出することが出来る。そのため、背景知識の利用が可能となり、命題論 理学習器に比べて、応用分野が格段に広がった。データベースの用語で言えば、 命題論理学習器は単一の表からの学習しか出来ないが、一階述語論理学習器は、 複数の表に跨るデータの中から、論理的な関連性を抽出してくれる。このため、 例えば関係データベースからの知識の発見が帰納論理プログラミングの枠組の 中で、自然に達成することが出来る。

本研究の目的は、上で述べたデータマイニングにおける機能の高度化である。 データマイニングの研究においては知識を抽出するエンジン部が重要となるが、 これまではそれは、データマイニングが対象とするデータベースのサイズが1 万件、あるいはそれを越えてしまうので、一階述語学習器では、これまでは性 能面で手に負えなかった。本研究においては、この問題を解決して、表現力に 富みかつ効率の良い、帰納論理プログラミングに基づくデータマイニングエン ジンの開発を目指す。本研究目的は、主として知識処理の高度化を狙っている が、同時に、並列記号処理も念頭に置いている。



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