平成8年度 委託研究ソフトウェアの 最終成果報告書

(7) 高速仮説推論システム

研究代表者:石塚 満 教授
      東京大学工学部電子情報工学科


仮説推論は知識処理の有用な枠組みであるが、主としてその低い推論速度のた めに広く利用されるようにはなっていない。本研究の目的は、効率的仮説推論 法に関する我々の研究成果を広範な応用に使えるようにするソフトウェアツー ルを開発することであり、それによって新しい知識処理の枠組みの適用範囲を 拡大することである。

特に、可能な要素仮説に数値的重みを与えてこの重みの和(コスト)を最小に する最適解仮説を求める、重み付き(あるいは、コストに基づく)仮説推論に 焦点を当てる。この仮説推論問題に対するネットワーク化バブル伝播(NBP) 法と呼ぶ我々の手法は、準最適解を多項式時間で計算することができる。

この手法に基づくソフトウェアの実装には、命題論理版と範囲限定述語ホーン 節を扱う述語論理版とがある。"nbp1"と称する命題論理版は1995年に完成し、 ソフトウェアツールになっている。この nbp1をサブメカニズムとして使用す る述語論理版の実装を行ったが、まだ不十分な点があり、なお効率の改善が課 題である。



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