平成8年度 委託研究ソフトウェアの 成果ソフトウェア

(10) 集合制約ソルバー

研究代表者:佐藤 洋祐 助教授
      立命館大学理工学部情報学科

[必要な環境]


マシン			Unix マシン
環境			Unix
言語			KLIC

[ソースプログラムの分量とファイル構成]


ソース量		80 KB(KLIC で約 2000行)

README-E

README-J	README-E の英語版

RELEASE_NOTE-E	配布ノート(英語版)

RELEASE_NOTE-J	配布ノート(日本語版)

setsolver.kl1	ソースプログラム

manual.tex	ユーザーマニュアル(英語版)

manualj.tex	ユーザーマニュアル(日本語版)

background.tex	このソフトウェアを使用するにあたって必要と思われる
		バックグラウンドの理論概説を記したLatexのソースコード

example		ベンチマークファイルが4つ収められたディレクトリー

[概要]

 体を係数環とする多項式環のイデアルの標準基底であるグレブナ基底は、近年の
計算機代数における金字塔的研究成果の一つであり、Maple、Mathematica 等の商
用数式処理システムにおいて、なくてはならない最重要ツールの一つになっている。
IFSのGDCCおよびCALにおいても、複素数あるいは実数上の制約を解くために、有理
数体を係数環とする多項式環上のグレブナ基底の計算アルゴリズムが実装されている。


 係数環を一般の環に拡張する試みは多くの研究者によってなされているが、いずれ
の場合も整域に限られていた。作者らは係数環がブール環(整域で
はない)の多項式環(ブール多項式環)においてもグレブナ基底を拡張できることを示
し、そのときのグレブナ基底が様々の性質を持つことを証明した。これらのうちの
大半は、体あるいは整域を係数とする多項式環上のグレブナ基底には無い性質であり、
これらの性質によりブール値に関する制約を非常にスマートに解くことが可能になる。


 ブール多項式環上のグレブナ基底は、独自のM-reductionを用い
ること、comprehensive グレブナ基底が容易に構成できること、イデアルの拡張定理
によって解を容易に扱えること、計算アルゴリズムに独自のsyzygy基底およびS-多項
式を用いること等、それまでの体あるいは整域を係数環にもつ多項式環上のグレブナ
基底にはないいろいろな性質を有する。


 このソフトウェアの制作にあたり、
知識処理を実現する上で集合に関する制約を扱う必要がある人々にたいして、
このグレブナ基底を利用した計算機代数に基づく洗練された集合制約ソルバーを
推論エンジンとして提供することを目標とした。
また、グレブナ基底および comprehensive グレブナ基底の生のソルバーも提供
することで計算機代数に興味がある人々にたいしてもわれわれの研究を紹介すること
も目標とした。

[特徴]


本ソフトウェアは集合ブール環を係数環とするブール多項式環におけるグレブナ基底と
comprehensiveグレブナ基底の計算プログラムおよびこれを利用した集合制約ソルバー
プログラムの3つから成り立つ。
このグレブナ基底はわれわれが独自に考案したものであり、
現存するいかなる数式処理システムでも利用することができない。

[機能]

集合制約ソルバー: グレブナ基底にもとづく集合制約ソルバーのセッションを
          スタートさせ、様々のタイプの集合制約を処理することができる

単項順序    : どんな種類のブロックオーダーも扱える


グレブナ基底  : ブール多項式環における、グレブナ基底 及び 
          Comprehensive グレブナ基底 を計算する
          標準形として reduce 及び optimal の2種類の
          グレブナ基底が利用できる

[FTP]


www-admin@icot.or.jp