(17) 単一化に基づく日英文法の開発および言語知識評価支援システム
研究代表者:松本 裕治 教授
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
- 1)研究進捗状況
- HPSGをベースにした日本語の基本文法および解析過程における曖昧
性の表示と優先度規則記述のためのシステムの開発を行なっている.
前者の文法については,基本的な設計が進み,細かい文法現象の取
り扱いについて考察を行なっている.後者のシステムについては,
解析過程における曖昧性の表示システムが完成し,簡単な優先度規
則を記述して曖昧性の解消を行なう部分の設計を行なっている.現
在は,単一の評価基準による優先度規則の記述と実行は可能である
が,複数の優先度規則を統合する部分の開発が未着手である.また
同時に,曖昧性とは逆に制約違反によって解析結果が得られないい
わゆる非文の解析の枠組を設計しその実装を行なっている.
- 2)現在までの主な成果
- Osamu Imaichi and Yuji Matsumoto, "Integration of
Syntactic, Semantic and Contextual Information in Processing
Grammatically Ill-Formed Inputs," IJCAI'95, pp.1435-1440,
August 1995.
- 中山拓也,松本裕治,「文法および辞書評価支援のための言語解析システム」情報処理学会自然言語処理研究会,Jan. 1996.
- 大石亨,松本裕治,「語彙知識ベースにおける記述量削減のための語彙規則の形式化」情報処理学会研究報告, 95-NL-110, pp.35-41, Nov. 1995.
- 3)今後の研究概要
- 開発中の日本語文法を新聞記事などの現実的な文の構文構造に対応
できるだけの適用範囲の広いものに拡張する.また,複数の優先度
規則を扱うことができるように曖昧性解消システムを設計し,語と
語の共起頻度やシソーラスにおける意味的な類似性などを尺度にし
て曖昧性の解消のための実験を行なう.
- 4)今年度目標成果
- HPSGをベースにした日本語の基本文法の第1版を完成させる.また,
曖昧性解消のための実験環境を整える.今年度は,これらの基本シ
ステムを用いて,大規模コーパスから取り出された語と語の共起関
係やシソーラスによる語の類似度などを基本的な尺度として,構文
的曖昧性の解消を行なうシステムのプロトタイプを完成させる.
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