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研究の背景と目的

法的推論は、膨大な常識知識や価値判断などを必要とし、かつ、個人や団体の 利害が複雑に絡み合う、極めて複雑なシステムであると言える。こうした大規 模かつ複雑な法的推論を直接ないし間接的に支援する計算機システムを構築す る目的で様々な試みが従来なされてきた。ICOT IFS としてその流通と洗練化 が期待されている new HELIC II もそうした試みの一つとして考えることがで きる。同システムはCBRをも含めた論理構築・選択および価値の優先関係に よる論争機能を持つシステムであり、システムの利用者である法律家は自らの 論理のチェックと強化のために当該システムを利用すると想定できる。この観 点から本研究では現在の new HELIC II が補うべき機能の一つとして、動的な 類似性判断機能を特に取り上げる。すなわち、法的判断で用いられる類似度は、 ケース(状況)と、論証したいゴールによって微妙に変化するという事実があ る。現在の new HELIC II で欠けているこの機能を補うことにより、法律家が 行う、類似性判断それ自体のチェックに使用できるシステムに進化させること が第1の目的である。こうした類似性判断に基づいて、本研究では、法的安定 性の観点からより適切な先例を求める法律家の作業を支援できる環境構築を、 類似性判断機構を用いて構築することを最終的な目標とする。



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