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研究の内容

初年度の研究では、自然言語解析等のアプリケーションを記述にむけて、まずは既存 のMGTPの証明機構を強化し環境整備をおこない、その後、実際にアプリケーションを 記述しながら、MGTPをプログラミング処理系として完成させていく。

具体的には、IFSとして登録されているKLIC及び、KLIC版MGTPをベースに以下の項目 について研究および開発を進める。

動的補題生成法の導入

タブロー法の改良技術として知られている、アトミック・カット、補題生成などのア イデアは、制約MGTP上では負リテラルの伝搬としてとらえることができ、制約MGTP上 での制約機構の強化につながる。ただし、MGTPのような並列証明系においては、この ような静的手法を単純に適用するだけでは制約の伝搬が充分に行えない。そこで、本 研究では並列に処理される証明間の整合性を保ちつつ補題を動的に生成する手法につ いて提案し、実装をおこなう。

構文解析への応用

上記の動的補題化により、LR構文解析やBUPをMGTPで記述した際に発生する冗長な解 析が抑えられることが期待できる。そこで、動的補題化の効果を構文解析により評価 し、同じ構文木を繰り返し生成しない効率のよい構文解析器の記述ができることを示 す。

自然言語解析のための各種制約の記述と実装

制約に基づく自然言語解析の手法をMGTPプログラミングの観点から整理、検討し、構 文解析と意味表現を統一的に扱うための枠組をMGTP上で実現することを目的とする。

具体的には、(2)で対象とした構文解析過程に、格フレームを制約情報として与える ための機構をMGTPに加える。制約に基づく文法についても制約MGTP上での実装を検討 する。

制約伝搬機構の実装

(3)のような制約に基づく手法では、解析中の情報が証明モデル間にまたがって伝搬 する。従来のMGTPでは値域制限性の条件により、このような情報の流れが発生するこ とは無かった。このため、本研究では、モデル間通信のための、新たな実装法を開発 する必要がある。

MGTP処理系の入出力整備

現在のMGTPでは、公理系のわずかな変更に対しても(外延データであっても)、MGTPプ ログラムからKLICへの翻訳系をその都度通し、さらにKLICによるコンパイルを行わな ければならない。また、証明結果の出力についてもユーザがその形式を指定できるよ うにする必要がある。MGTPを汎用の推論エンジンとしてより完成度の高いものにする ため、入出力に関する記述をMGTPの言語仕様に加え、KLICにより実装を行う。



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