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研究の内容

高度問題解決のための推論プログラムを開発するにあたり、研究期間を2年間 に設定し、本年度は「ALP処理系(Prolog 版)の作成」を行った。具体的には以 下の開発研究を実施した。

1. 失敗による否定(NAF)の計算のMGTP上での実現

2. アブダクションの計算のMGTP上での実現

3. 上記2つの処理を結合したALP計算のMGTP上での実現

4. ALP処理系の効率化の検討と改良

まず、「井上・越村・長谷川の方式」に基づき、NAFを含む論理プログラムで ある一般論理プログラム、選言付き論理プログラム、拡張論理プログラム、選 言付き拡張プログラムなどのクラスにおける安定モデルあるいは解集合 (answer set)を求める手続きをインプリメントした。これは各種のプログラム をMGTPの入力節へ変換するような「一階述語コンパイラ」により行われ、MGTP 上のモデル生成を通して得られたモデルを解集合の形に戻す方式で行った。ま た、NAFと並行して、アブダクションを行うための(NAFを含まない)プログラム をSkip方式と呼ばれる変換方式によりMGTPの入力節に変換した。これも一階述 語論理へのコンパイラが主なプログラムである。次に、これら2種類の一階述 語コンパイラを融合・拡張することにより、NAFとアブダクションを同時に MGTPへの入力節に変換するALP処理系を作成した。最後に、ALP処理系の高速化 を図るために、各種の最適化を施した。

なお、2年目にあたる次年度における当初の予定では、本年度に開発したALP 処理系を拡張した「アクション言語処理系の作成」を主な目的にしている。

以上のように、各種の高次推論体系からMGTPの入力節となる一階述語論理への コンパイラを作成し、MGTP上でボトムアップ計算を行うという、共通した手法 を用いていることが、本研究の特徴である。すなわち、プログラミング技法と しては、MGTP節への変換方式を変形させることで、さまざまな知識表現が扱え ることに本研究の汎用性がある。



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