研究の背景
KLIC は汎用計算機上で動作する並列論理型言語処理系として、高効率と高い 移植性を両立した KL1 処理系である。C 言語を介したコード生成、モジュラー な構造、標準的 OS 機能のみの利用、という設計方針によって、幅広い機種に 容易に移植可能で、一方、KL1 の特質を生かした設計により、性能も広範に用 いられている論理型言語処理系 (たとえば SICStus Prolog など) を凌ぐもの となっている。これらのことから、ICOT Free Software として公開された処 理系は、国内のみならず、世界的に広範に研究および教育目的に利用されてい る。
しかしながら、現在公開されている KLIC システムにはさまざまな点で改良の 余地が残っている。たとえば、メモリ管理は世代方式のガーベジコレクタの実 装を念頭に設計されているが、世代 GC は部分的試作に留まっており、試作部 分にもバグが残り、評価も不十分である。プログラムデバッグのための機能に ついても、通常の論理型言語処理系と同様のトレース機能は持っているが、並 列動作する複雑なプログラムのデバッグのためには十分とはいいがたい。
こうした諸点については、今後 KLIC の利用がさらに広がるにつれてユーザか らの不満が増していくものと考えられ、KLIC システムの普及・発展のために 早急な改良が必要である。
研究の目的
ICOT Free Software として公開・配布されている KLIC システムをベースに、 諸機能に改良・拡張を加え、並列論理型言語のためのプログラミングシステム として完成度の高いものとし、KLIC システムの利用範囲を拡大するのが、本 研究の目的である。より具体的には、以下の諸点を目的とする。
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