次に、与えられた症状データと観測値を基に、被疑部品のリストを作成する。 この処理は、対象装置を、複数の構成部品の集合としてモデル化し、各構成部品 の動作と部品間の接続関係を記述した論理的知識(モデルベース)を利用して行 う。動作と接続関係の知識は一階述語論理で表現されており、論理型言語である KL1で記述されている。この計算は、対象装置が、与えられた入力値に対して、 期待される出力値と異なる出力値を出す理由(故障候補集合)を求める仮説推論 方式により行なわれる。 システムは終了条件が満たされるまで、テストの選択、実行を繰り返しながら、 故障候補集合を絞り込んでいく。この時、最もコストあたりの有効度が高いテス トを求めるために、各故障候補の故障確率を利用したエントロピーの計算による 情報量の計算を行う。この処理もテストの候補が多くなると処理に時間を必要と するため、並列処理による高速化がはかられている。 実験結果 複数の例題について並列処理の効果を計測した結果、16プロセッサを用いた 場合、1プロセッサの場合として比較して、診断機能について約4倍から5倍の 高速化、学習機能について約8倍から11倍の高速化が確認された。下図に、学習 機能の並列処理による台数効果の例を示す。
![]() 学習機能の並列処理による台数効果 |